盆の宴

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年々季節が巡るのが早くなるが、もう8月である。

とりあえず猫も杓子も移動するのが盆であるが、
まぁ移動したり集まったりするのは、
現役で人間やっている奴に限った話じゃねぇ。

当然、元・人間も移動してくるのだ。

盆は地獄の釜の蓋が開く

夏と言えばだ。
盆まであと1週間もない。

盆・・・といえばご先祖さんが帰ってくる宗教的行事だが、
まぁお勤めの人にとっては
‟待ちに待った大人の夏休み”
の意味合いが強いかもしれない。

帰省する人、旅行する人、
とにかくGWに続き、民族大移動だ。

そして、当然ながら移動するのは人だけではない。
盆は祖霊がこの世に里帰りを許される時期だと言われている。
まぁダンナ達は「地獄の釜の蓋が開く」って言ってるけどな。

よく「死人にこの世のルールや行事が関係するのか?」
のたまう人がいるが、
ルールや行事、まぁ概念というのは意外なほど人を縛る。

死者・・・幽霊っつっても、元は人だ。
死んだらいきなり人格や常識が変わるわけじゃない。
だから、ヤー公にドス抜かれて怒鳴られると黙るんだよ(笑)

結局、死んだって人は人のままさ。

生前「盆は死者が帰る行事だ」と思っていたら、
死後、帰ってくるんじゃね?
用事なんてなくても
「だってお盆だし」
の一言でフラッと来るんじゃね?
特に日本人、基本そうゆう人多いしね。

別に用事がありゃ盆じゃなくても来るけれど、
先の「地獄の釜の蓋が開く」って話じゃないが、
‟盆に帰る”という概念に加えて、
普段より行き来しやすい状態になるなどの
‟空間的法則”も発生するんじゃないのかな。

乗り物(キュウリカー)用意してもらって、
「ここだよ~」と呼ばれ(迎え火)
言ったらご馳走がある。
オマケに期間限定で高速タダとか‟ETC盆割引”(空間的法則)とかあったら、
まぁ行きやすいよな(笑)

我が家はご先祖さんの宴会場

皆がこぞって移動するお盆だが、私は大体動かない。
・・・混むから(爆)

あ、いや、それもあるが盆に実家に帰ると寝る所に困るのだ。

うちの実家は、そもそも‟出る家”だ。

オマケにどうゆう訳か一番そうゆうものを感じる素養のある私の部屋は鬼門でな。
実際、色々部屋に来たり通ったりしていた。

これはどうやら現在進行形らしいし、
住んでいた頃はそれが当たり前だったため疑問は持たなかったが、
そこから離れると家の中で特に私の自室が異様なのがよく分かる。

そんな訳で帰省すると自室ではなく居間で寝る。
まず自室に入らない。

が、盆だけは・・・この居間も駄目だ。

毎年、盆の始まりから終わりまで、
夜な夜な居間から飲んで騒ぐ声が聞こえるのだ。

つまり、
盆で帰省した祖霊とやらの宴会場になっているんだ、我が家は。

基本、この地域の人間はリアルに「日本全国酒飲み音頭」の生活をしている。
何はなくても酒があればいい。

ロシア人の燃料がウォッカであるのと同レベルで、
この地域の人間の血は酒で出来ていると言っても過言ではない。

そして、どうやらそれは死んでも変わらんらしく、
大人しくチミチミと飲んでくれりゃいいが、
毎夜毎夜バカ騒ぎである(;・∀・)

勿論、自室と居間以外でも空いている部屋はあるが、
この聞こえる声は当然物理的な音ではないので、
多分何処で寝ても一緒だ。

そうして考えると、盆に帰省するというのはいつも以上に
‟寝不足になる”と同じ事で、
それを避けるために盆には絶対帰省しないのだ。

何故我が家が会場指定されているのか?

家系で言えば我が家は分家で、
分家に親戚縁者が集うのはイマイチ納得いかなかった。

が、今にして思うと、当然といえば当然だ。

うちの実家は、神事仏事にマメな母が、
毎年墓参りから様々な飾り付けまで欠かしたことがない。

本家は・・・まぁ本家とは名ばかりで、
とてもそのような祀り事をマメにやっているように見えない。
大体、やりそうな人間が一人としていない。
残念な事に他の分家、祖母実家についても同様だ。

オマケに母は綺麗好きだから、いつも家が綺麗だ。
特別洒落た家ではないが、廊下などゴミ一つ落ちてねぇ。
それに引き換え本家は・・・軽くゴミ屋敷だ(;´Д`)

誰だって、同じ手間かけて行くなら何もないボロ宿よりも、
アメニティや食事が充実した綺麗な旅館に泊まりたいに決まってる。

更に美人女将が三つ指ついて「ようこそお越し下さいました」
と言ってくれればもうココにする以外なかろう。

祖霊だなんだと言っても、
結局はこんなものなんだよ、多分(爆)

まぁそれに、我が家はそもそも客が来るのに慣れた家だから、
そうゆう空気が出来ちゃってるんだろうなぁ。
変な事起こるのも通常運行だもんなぁ。

毎年この宴に気付くのは私だけだが、稀に母か弟が
「昨夜、あんた居間でテレビでも見てた?うるさかったよ」
と聞いてくる事があったが、
「いいや」と正直に答えても
「あ、盆やし。誰ぞ来て飲み食いでもしてたんかねぇ」
という話で終わる。

親父と祖母はさておき、母も弟もそうゆう人間なのだ(;・∀・)

見える見えないとかではなく、
‟目には見えないものも世の中にはいて当たり前”
と、何となく認識しているのだ、この2人は。

私は実家にいた頃は結構宵っ張りだったが、
この時期だけは早く寝るように努めていた。

何が集まっているかは察する所なので怖くはないが、
死者の宴会なんぞに関わる気はないからな。
ヨモツヘグイなんて冗談ではない。

が、怪異の訪れとは不思議なモノで、
どんなに疲れていようが徹夜の後だろうが、予兆で目が覚めてしまう。

そうして横になったままじっとしていると、
複数人が飲んで語らい、笑い合う声が夜明け近くまでするのだ。

気にしないで寝直す努力はするが、
田舎の夜は静かなので意外と耳について眠れない。
恐怖ではなく単純にうるさくて眠れない。

昇る足音

まぁうるさいだけならいいんだが、
この浮かれ騒ぐご先祖と思しきモノの中に、一人違う行動をする奴がいる。

下の浮かれ騒ぐ音を「うるさいな~」と思って聞いていると、
そこへ異音が混じる事がある。

ギッギッギッ・・・
という階段を昇る足音だ。

元々我が家は、人がいない二階や廊下から足音がよく聞こえる家だ。
ペタペタ、トントンなら可愛い方で、たまにズドドドド~!と何かが駆け回る。
ただ、盆に聞こえるこの足音は妙に生身に近く、無視出来ない存在感がある。

そしてその足音は、現行の家族の誰とも一致しない。

ギッギッギッ・・・

私の部屋はドアを開け放っておくと階段の登リ口が見えるので、
薄目を開けていると手摺の隙間から登ってくる人が見えるはずなのだが、
いつも姿は見えない。

というか、足音は大体途中で消えてしまう。
が、気配だけが階段を昇り切り、
廊下を曲がり私の部屋のほうへとやってくる。

まぁ私はこうゆう時は知らぬ存ぜぬを決めこむ事にしているんだが、
目を閉じて感覚だけを研ぎ澄ましていると、
開け放したドアにかけられた暖簾が動く音がする。
・・・無風なのに。

そして気配だけが音もなく更に近づき枕元に立つ。
そして、しばらくすると頬に吐息のようなものが掛かる。

顔を覗き込んでいるのだ。

ここで消える事もあるが、
たまにコレは人の頭や顔を2~3度撫でて離れていく。

大体、毎年コレである。

とりあえず、宴会は盆初日に必ず開催されていて、
この‟誰か”が部屋を訪れるのも大体初日。

そもそも盆の初日に‟迎え火”を母が焚くと、
そこから妙に家の中の人口密度が増す感じがする。

見えなくても妙に窮屈になるのだ、家の中が。

そして、盆の最終日‟送り火”を焚いてしまうと、
途端に家は静寂に包まれる。
まさに祭や宴の後のような空虚感だ。

祖父さんという人

この私の部屋を訪れるモノが、
他の家族の元にも行っているのかは分からない。
何しろ私は誰にもこの話をしていないからな。

それにこの一連の出来事を言った所で、
呑気なうちの家族は
「どうせご先祖さんだろ?だって盆だから」
で済ませてしまうと思う。

んで、毎年私の部屋を訪れるこの怪異の正体なんだが、
当時は、まだ祖母も存命で同居していたし、
母方の祖父母も母実家で元気にしていたから、
こんな事をしそうな人で思い当たるのは

私が生まれる前に亡くなった祖父だ。

ご先祖さんと括れば、別に祖父に限らず曽祖父も曾祖母もいるわけで、
写真でしか知らないのは別に祖父に限った話ではない。
が、私は何故か祖父だと思うのだ。

盆に訪れる怪異の雰囲気が、写真の祖父とよく似ている。

人っていうのは生身でも写真でも意外と雰囲気といういか、
空気というのをきちんと纏っていて、
そうゆうのは誤魔化せないし、実は死後も変わらない事が多い。

こんな言い方をしてもいいのか疑問はあるが、
肉体的というより魂的なものが発しているものも込みで
雰囲気や空気だからな。

特にこの時やってくる気配は何処かアンバランスであり、
実際祖父は隻腕だったという。
私が知る限り、隻腕の身内は祖父だけだ。

祖父が亡くなったのは57歳の時で、
当時父はまだ高校生だったという。

そうゆう場合、そこから約10年後に生まれる孫の存在を
どれほど気にするものなのか?とは思う。
(冒頭の生前の概念に則っていくとな)

が、うちは母が物凄く祖父さんをリスペクトしていて、
結構昔から妙に手厚く供養していたから、
絶対にないとは言い切れない。

・・・本当、そのうち社でも作りだしそうな勢いで、
祖父さん拝んでるから、うちの母ちゃん(;・∀・)

ちなみに母は高校時代から親父と付き合っていて、
その頃に祖父と数回会った事はあるらしいけどな。

んま、写真で見る祖父はうちの父方特有の彫りの深い顔立ちで、
孫の私から見ても大分男前なんだがな。

うちのダンナ達に言わせたら、
私の妙な事を察する勘だとか、怪異と縁が切れない
一番の原因は父方の血のせいらしい。

祖父は、そんな奇妙な事情に巻き込まれた孫娘を心配して、
毎年顔を見に来ていたのかもしれない。

名古屋に入れば大丈夫?そんな事はない

そんな訳で盆に帰省する事はまずないんだが、
帰省せず、アパート故に迎え火を焚かなくても、
来るものは来る。

・・・親父の死後、たまに親父が来るようになった(;・∀・)

前に盆近くにウトウトしながら考え事をしていたら、
急に親父の怒鳴り声が聞こえ、
そのせいで結局自分が何について考えていたか忘れてしまった。
(私が声に驚いて身を起こすより前に猫が飛びあがったので、
勘違いではなさそう・・・)

別に盆くらい帰ってくるのは構わん。
ただ、生者に迷惑かけるような帰省の仕方だけはするな!

と、盆辺りに不思議な事がある度に思うのだ。

 

今年も私は盆に帰省する予定はない。
予定はないが・・・バイクを買い替えたからなぁ。

絶対、奴は新しいバイクを見に来るに違いない。

別にバイクを見に来るのは構わん。
13日だけはバイクシートを掛けないでおいてやるから、
好きなだけ見るがいい、なんなら跨ってみるがいい。

が、私には声は掛けないで欲しい。
つーか、家宅侵入すんな!!( ゚Д゚)ノ

今年も盆が来る前に家の中を拭き清め、
その上で結界を張り、万全の準備で盆を迎えたいと思う(笑)

※余談

親父に対するこの防衛を「あんまりだ」という人もいるのだが、
奴は生前、私に断りもなく勝手に1週間滞在すると決め、
なおかつ許可なしに合鍵を作った前科があるのだ。
言っただろ?私は私のプライベートタイムを邪魔する奴は
誰であろうと許さんのだ。
バイクに退魔の札貼られんだけ良しと思っていただこう。

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