贄の夢

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私の見る夢はおよそ1割が悪夢だ。

が、それはある程度大人になってからの話で、
子供の頃の夢の記憶は
悪夢が多い。

というか、
同じ悪夢を繰り返し繰り返し見た。

その内容というのが、
およそ子供が考える枠を超えているから
奇妙で恐ろしい。

今日は私が「贄の夢」と呼んでいる
ある悪夢の話である。

夢の記憶、夢のトラウマ

私は身体を拘束される事が最も嫌いである。

いや、まぁ、そんな事が好きなのは
一部の×××趣味の人だけだと思うんだが、
私は自分でも度を超えるほど嫌だという自覚がある。

度を超えるとはどの程度かというと・・・ハグが嫌。

まぁやや語弊があるのだが、
身動きが取れないようにされるのであれば、
例えハグでも嫌なのだ。

別に私をハグしてもいいが、
いきなり後ろから抱きついたりするのはやめてくれ。
危険だ。
(リアルに「俺の後ろに立つな」って事になります)

この拘束嫌いについて違う例えで言うと、
たまにテレビで「洞窟探検」などの企画があるが、
あれで体が挟まりそうな狭い道を行くのを見るだけで、
心臓がパクパクしてくる。

「土砂崩れで生き埋め」なんてワードも血の気が引く。

 

人間、一つ二つ「絶対に苦手なモノ」があり、
世間ではこうゆうのを「トラウマ」という。

まぁトラウマについては、
もっと専門的な説明があるが、
ごく一般的な会話でも
「~以来、〇〇がトラウマなんだよね」
という話は出ると思う。

トラウマにはその原因となる体験があるのだが、
実は特にそうゆう体験はない。

というか、そもそも絶対に身動きが取れない状況は、
普通の生活をしていたらほどんどないし、
あれば大体は覚えているだろう。

そう、一応‟現実世界”で
トラウマになる経験をした覚えはない。

だが、子供の頃から五感の揃ったリアル夢を見る私は
夢での体験もかなり現実世界に近いものがある。

ここに拘束恐怖の一つの可能性として提示できるのは、
子供の頃に幾度も見た

‟贄(にえ)の夢”

今も思い出すと、スッと背中が冷える
あの夢の存在を無視出来ない。

贄の夢

その夢の中で、私はいつも薄暗い部屋にいた。
部屋と言っても6畳とか8畳とかそんなレベルではない。

とにかくだだっ広い。
暗さも相まって壁が見えないほど広い。

ただ、辛うじて天井があるのと、
空気が動かないので周りに壁があるんだなぁと感じる。

そして、だたっ広い空間に何本も何本も柱が立っている。

その柱は全て円柱なんだが、
薄暗い中で目を凝らすと
太い柱からニョキニョキと細いものが出ている。
そのようすは大木から生える枝のようだ。

だだっ広い部屋の中に幾本もの木が生えている光景。

始めはそんな認識だった。
が、違った。

薄暗さに目が慣れると、
そこは薄暗いのではなく
‟赤黒い”のだと気付く。

どこもかしこも赤黒い。

そしてそれに気付くと
今まで何となく気付くまいとしていた
臭いが、
何の臭いか分かってしまう。

生臭く鼻につく、血の匂い。

私は、何処もかしこも血に染められた部屋の真ん中にいるのだ。

 

当然の事ながら、恐怖に後ろへ下がると
背中に当たる木の一つ。

実際に触れるとやっぱりそれは木ではない。
柱だ。
ただ、柱の中には人が塗りこめられている。

私が枝だと思ったものは、
柱から突き出されている人の手足だった。

後ろだけではない。
前も左右ももっと先まで
そのように人が塗りこめられた柱が無数に並んでいる。

私はいつもそこから逃げようとするのだが、
どうゆう訳か逃げられず、
私も同じように柱に塗りこめられてしまう。

全くもって身動きが取れずパニックになっているうちに
・・・・目が覚める。

 

この夢を見る度、私はギャン泣きして起き、
泣きながら親に説明するも
「怖い夢だったんでしょ」
で済まされ、
誰にもこの恐怖を理解してもらえることはなかった。

私の記憶が確かなら、
それこそ2~3歳の頃から見始めて
小学校高学年近くになるまで事あるごとに見続けた。

私はこの夢をいつからか
「贄の夢」
と呼ぶようになった。

そして、いつの間にか身体を拘束される事を思うと
冷や汗が出るほど嫌になっていた。

引き金

この夢を見なくなったのは、
子供なりにこの夢を見るトリガーを見つけ、
それを極力避けるようになったからである。

その引き金とは「血」

転んで血が滲んだ程度なら大丈夫だが、
床に滴るレベルだと駄目だ。

そしてドラマのようなフィクションであっても
盛大かつリアルに流血が再現されていると駄目。

同じく「死体」も駄目だった。

昆虫、魚類くらいまでは大丈夫なんだが、
ほ乳類と鳥類は駄目だ。

うちは親父が狩猟をやっていたので、
シーズンはしょっちゅう鴨などが持ち込まれていたが、
しばらくの間、その解体から逃げ回っていた。

狩猟シーズン外でも、実家周辺は立地の関係で、
よく色んな轢死体が転がっているのだが
昼間にそれをチラリとでも見てしまうと
夜はこの悪夢に悩まされる。

他にもいくつかあるんだが、
それらは何とも説明しがたいので省く。
とても感覚的で突然「あぁ」と思う類のものとだけ言っておこう。

 

んで、更に慣れてくると
そのトリガーの立ち具合が自分でわかる所

上記のトリガーとなるものを見ても
「今日は大丈夫」
「今日は駄目だ」
というのが、いつ頃からか分かるようになった。
(そして駄目な時はなるべく爆睡できるように、
昼間のうちに走り回って体力を削る。まぁ無駄だったけど)

いや、立ち具合が分かるというより、
ひょっとしたら年齢が上がる事で
鈍感になっていったのかもしれない。

とりあえず条件が揃えばいつも見るがなくなったから。

ちなみに悪夢のトリガーが立つ時は

見た瞬間に足元に見えない穴ができ、
自分の中身だけがスコンと落ちる感覚がある。

その時、瞬間的に訪れる恐怖は、
夢の中で感じる恐怖によく似ていた。

人柱

私はこの夢の話を誰にもしたことがなかった。

言った所で理解されないのが分かっていたし、
‟語る”というのは、ある部分それを再体験するのと同じだ。
思い出さないと語れないからな。

この話をやっと口にしようと思ったのは、
20才を過ぎて悪夢から遥か彼方に遠ざかった頃だった。

 

ある時、ジジイと夢についての問答をしていて、
ふとこのジイさんなら、
この夢に何か意味を見出す事ができるかもしれないと思い、
語って聞かせた事がある。

私から夢の話を聞いたジジイは

「お前の実家の傍に古墳あるだろう。
多分、お前の先祖はそこに人柱として埋められているよ」

と一言言った。

人柱・・・このご時世になんて時代錯誤な話だろう。
いやいや、古墳を作るくらいの時代ならあるだろう。

しかし、如何せん20代も前半頃の話だったと思うので、
阿保な私が思い浮かべた古墳は・・・・こうゆうやつだった↓

・・・違った。
こっふんさまは確かに古墳だがそうじゃない。

とりあえず特に遺跡古墳マニアではなく、
義務教育はちゃんと受けているという人が思い浮かべる古墳って
こうゆうやつじゃね?

まぁ、‟The・前方後円墳!!” 的な。

実際はこればっかりが古墳ではないが、
普通の一番分かりやすいイメージってコレだと思う。

そんな立派なモノ、
うちの近所にあったら大変な事になってるじゃんかよ。

「いやいやいや、古墳あるとか聞いた事ないし」

ってなわけで、この時は
「流石のジジイでも何でも分かるわけじゃないのか」
と思っていた。

思っていたんだよ、本当に。

 

さて、思った以上に長くなってしまったので、
続きは次回へと持ち越したい。

率直に言えば、あったのだ、古墳が。

私自身知らなかったのだが、
とりあえず古墳があったとだけ言っておこう。

そんな訳で、この話は「贄の夢 考察編」へ続く。

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