その石には龍が住んでいる

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拝み屋なんて胡散臭い仕事をしているダンナは
「龍憑き男」
である。

が、我が家には都合2匹の龍がいる。

今日は、私とダンナが「龍神ハウス」と呼ぶ石にとり憑いている龍の話だ。

謎の気配

他所さんの夫婦の会話がどうかは知らんが、
我が家は“龍神の鱗が蛇と魚どちらに近いのか”
が話のネタになったりするのが通常運行だ。

そりゃ確かに時々龍の姿を見るとはいえ、
そこは‟怪異あるある”で、意外と後から姿が思い出せない。
いや、龍に関して言えば顔のディテールは見えてないのだ。

他者は知らんが、私が見る龍というのは大体皆目が光っている。
姿が見えんほど広い範囲で光っていないので、全体的な像は見えるが、
顔は光のせいで白っぽくなってしまって、ハッキリ見えないのである。

それはいいけど、まさかそこでダンナから
シーラカンスの鱗だよぉぉ~!!」
という主張が出るとは思ってなかった。
いや、奴のボキャブラリーに“シーラカンス”
という単語があると思ってなかったのでそっちで驚いた。

そんなトンチキな会話をしている
トンチキチン夫婦が暮らす家は、やっぱり‟変なモノ”が住んでいる。

 

四六時中人と一緒にいる事が好きではない私は、
5~6年前、元々ダンナが部屋を借りていたアパートに
私も部屋を借りて、そちらは「仕事場兼猫部屋」としている。

不経済だと人に言われるが、
私は完全に一人で引篭もれる空間がないと発狂するし、
野良あがりの猫は私以外と顔を合わせると血尿を出すので
致し方がない。

まぁ私の仕事部屋は至って普通というか、
実は‟事故物件”の真上なんだが、残念ながら特に何もない。
問題はダンナ部屋である。

このダンナ部屋、
ダンナがいる時はあまり気にならないが、
一人でいるとたまに妙な気配がする。

まぁ私がダンナ部屋に一人でいるのは、大体昼寝をする時なんだが、
目を瞑って寝ようとすると・・・・たまに何かが私の顔を覗き込んでいる。

姿が見えてるわけではないが、感じというか気配だけで言うと、
完全にだ。
そして犬のように鼻面が長い。

確かに我が家には一匹犬がいるが・・・気配だけでいえば、
大型犬以上のサイズだ。

勿論、うちの犬は大型ではない、柴犬だ。
しかもどちらかと言うと‟狸顔”と言われる丸っこい顔の
並より小さい柴犬だ。

それに気配には地面に足を付いている様子がない。
いやまぁ怪異だからなんだが、動物のようで動物とは違う。
けれども犬のように長めの頭部の奴が首を伸ばすような気配がする。

とはいえ、ダンナの部屋にそう悪い物がいるわけはなく、
しばらくの間無視していた。

龍の住む石

ある時、ふとダンナにその謎の気配の話をすると、
部屋に置いてある石を指して

ダ「そんなの龍神さんが見ているに決まっているよ。
だってここの石、龍神さんが入っているんだから」

とのたまった。

ダ「え?あ?知らなかったの?」

いやいや、知らないし。
そりゃ、「なんかなぁ?」とは思ってたけど、わざわざ聞く気も起きなかったし。
ってか、ず~っと前からあったから、もはや風景と一体化してたって。

石はさておき、あの普段感じる気配から行くと、龍っぽいっちゃ龍っぽい。
龍・・・・鼻面長いからな。

ってか、なんで私の事を覗いているのよ?

ダ「そりゃ、突然部屋に来て寝始めたら何事と思うんじゃない?
一声かけてから寝ればいいんだよ(`・∀・´)ノ

なんだそれは?家主か?
そいつはここの家主なのか?

まぁそれはよいとして、その問題の石なんだが、
・・・・正直、普通に置いてあるぶんには漬物石にしか見えねぇ。

ダ「まぁよく見てごらん」
と言われ、改めて傍でじっくり見ると、表面に龍の顔が浮かんでいる
え?まさかたったコレだけの事で龍神入りとか言ってるわけじゃないよね?

ダ「まさかまさか。それだって皆に見えるわけじゃないんだからね」
だったら尚更私に見えたら変じゃないか?
つーか、それは霊感というより、顔認識スキーマ※の問題ではないのか?

※スキーマとは認知心理学の用語で、人間の認知概念を説明するもの。
ザックリ言うと「点がいい具合に3つ並ぶと何となく顔のように認識する」
まぁこうゆう感じよ。

 

真偽のほどはともかく、この石の出所というのは五十鈴川の上流らしく、
ダンナはお伊勢さんの関係者からいくつか譲り受けたらしい。

確かに川の上を低空飛行している龍とかもいたからなぁ。
その一匹や二匹が石に潜りこんでも不思議ではない。
鉱物は良くも悪くも色々憑きやすいからなぁ。
(なので、あまりホイホイと石は拾わないほうがいいんだよ。
わからないから)

ちなみにこの龍神さん、非常に大人しい性質らしく、
お祀りも常に水を供えておけばいいそうな。

龍の絵

それからしばらく。

龍の話を立て続けに書いておいてこんな話はおかしいのかもしれないが、
実は元々私はそんなに龍には興味がなかった。

幻獣という括りで行けば、どちらかというとキメラ的なものや、
半人半獣のものが好みである。
(上半身が美女で下半身が獣とか超好物)

なんだけど・・・とある神社に行ってから、妙に龍付いてしまって、
一時期阿保みたいに行く先々で龍を見ていた。

イラストレーションから絵画に戻って、しばらく写実具象に徹するために、
現実にないものは描かない※と自分で決めていたんだが・・・・
しつこく見ると、描きたくなってくるのが絵描きの性分だ。

※これについて「見たまましか描けないのかよ」って散々喧嘩を売られていますが、
見ないで想像だけで描くのはイラストの時に散々やってるわけ。
喧嘩売るなら経歴調べてから売ってくれよ、同じ説明何回もするの面倒だから。
俺暇人に付き合うほど暇じゃないから。

 

興味のあるなしより、やっぱり龍は美しい。
そして私が見ている龍は既存の絵画、イラストの中にはいなかった。

ないなら自分で作れば?

というのは、私の・・・というより、我が家の家訓みたいなもんでな。
自分の思う龍を描いてみる事にしたんだ。

ただな~、別に一般的な龍は描けるわけよ。
年賀状の辰年!みたいなのはね。
そこはイラストの仕事してたから描けるんだよ。

だけどさ、確かに今までイラストで散々空想の世界って描いてきているんだけど、
‟空想の物を描く”のと
‟認識した怪異を描く”って別モノなんだよね。

ましてや、龍については見ている時点で顔が半ボケなので、ハッキリ描くと
「これじゃない感」がハンパない。
特にね。目が光ってるから黒目ないんだよ、あの人ら。
(そうゆう意味ではまだ天狗のほうが顔ハッキリ見える。まぁ皆オッサンだが)

でも絵としては、そこそこハッキリ描かないといけないわけで、
更に目が入ってないと「画竜点睛を欠く」になってしまうわけで。

物凄く・・・・・困った(;・∀・)

ちなみに、数話前のサムネに使っていたコレは、
多分今までの中で一番そこそこ満足したものだ。

これの時は、何でか家の中にいても空の上が気になって仕方なく、
「あぁ、龍描かなあかんな」と思って描いたら描けた。
(個人的にはもっと生物学的にディティールを詰めたい。ちなみに
私は顔の表面は鱗というよりも鳥の顔面的な質感な気がしてならない。
毛っていうか、羽っていうか。
タテガミの毛質はライオンタイプと馬毛タイプに分かれる気がする)

後からジジイに聞いたら
「そりゃお前、最近、龍神さんがお騒ぎになっておるからだ」
と言ったので・・・どうやら私は、
上空で龍神体育祭がないと龍を描けないらしい。

とはいえ、少し前まではその事が分からなかったので、
暇があれば龍を描いてみていた。

んで、何枚か描いた所で妙案を思いついた。

偽ダンナ

思ったように仕上がらなくても、龍を描くのは結構疲れる。
いや絵自体描くのに結構体力がいる。

自慢じゃないが、私は一枚描き上げると体重が2kgほど落ちる。
どちらかと言うと痩せているほうなので、
立て続けに描くとヘロヘロになってしまうのだ。

その日も一枚描き上げて、妙案のために絵を持ってダンナ部屋へ。

布団の脇に絵を置いて、石の龍神さんへ

「じゃあ、ちょいと昼寝しますからね。
そうそう、龍神さんを描いてみましたから、暇なら見てみてくださいね

と声をかけ横になる。

・・・・いや、絵を見て物申す気があれば姿を現すんじゃないかと思ってさ(笑)

うつらうつらよりも、まだ寝てないくらいの時、
やっぱり顔を覗き込む気配がする。

声かけたじゃん(;´д`)
どうせだったら、ちゃんと顔を出して覗いてくださいよ。
なんなら、そのままポーズモデルを・・・って無理か。

まぁいいやと思って、そのままうつらうつら。

 

そうしていると、すぐにダンナが帰ってきて、
PCの前に座りカタカタとキーボードを打ち始めた。

あれ?ドアが開く音はしなかったんだけどな。
いつの間に帰ってきたんだろう?

その時、ちゃんと目を開けて姿を確認したのだが、
ダンナは今まで見た事がない茶色のベストを羽織っていた。
「珍しいもん着ているな。あんなのあったんだ」
と、疑問に思ったものの、
私だってダンナの全ワードローブを記憶している訳ではないので
「あ~ら、似合うじゃないww」
と思ってそのままもう一眠り。

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・ガチャ「ただいま~(`・∀・´)ノ」

・・・・・・・・・おや?

玄関からダンナが入ってくる。
ん~~~?

私「おかえりってか、また出かけたの?」
ダ「??僕は今帰ってきたんだけど?

私「だって、さっき帰ってきてPC触ってたじゃん。
ちゃんとキーボードカタカタ叩いている音聞こえたよ」
ダ「・・・・俺が軽快にキーボード叩くわけないでしょ。それ誰?

・・・・・・・・・確かに顔はちゃんと見てない気がする。

顔よりも見たことないベストを着ているのが目に止まったので、そこしか見てない。
でも、あの背格好はダンナだと思うしなぁ。
そう、若いというより初老の男性的なあの居住い。
日頃そうしてPCの前に座っているダンナによく似ている。

一瞬、寝ぼけていたのか、夢かなぁ?と思いもしたが、
私は普段、こうゆう寝ぼけ方を殆どしない。

・・・・・・・・・あの人誰?(;´Д`)

んで、ふと目に付いたのが、PCの前に置かれた‟龍神さんの石”

ダンナの部屋をウロウロ出来る怪なんて、
うちの猫と龍神さんくらいしかいないじゃないか。

猫は普通に猫の姿のまま来て、ダンナがいようが私がいようが、
自分が生前お気に入りだった場所で勝手に寝るので猫ではない。

そうすると、やはり龍神さんかと思うのだが・・・・何故化けた?

龍が人に変化するというのは昔話あるあるだけれどな。
でもさ、大体美男美女に化けるんだけど。

・・・・美男美女に化けるんだけど!(大事なので2度言います)

首から上はハッキリ見てないから何とも言えんが、
何故、翁に化けた?

いや、それよりも・・・・
結局絵気に入ったのかよ?気に入らなかったのかよ?
どっち?どっちなの?ちょっと!!
人型に化けるんなら意思表示しろ!!
(←むしろこれが一番重要)

そんな訳で一旦「これは寝ぼけていた」で終了させたのだが、
以来、このダンナっぽいけれどダンナではないモノが、
忘れた頃に現れる。
更にいつも同じように椅子に座ってキーボードをカタカタと叩いているのである。

もう最近は見ても一々気にするのをやめた。
意味が分からなすぎて、考える気が失せた。

まぁ何となくダンナの風貌に似ているので、
ダンナのドッペルゲンガーとか、
ダンナが幽体離脱しているかとも思ったんだが、
一応本人曰く「俺、それはないわぁ」という事なので違うらしい。

龍神さんに物申したい事

これが本当に石の龍神さんかは定かではないし、
この偽ダンナ的なものが出るから何か不都合があるかといえばない。

ただ、それを省いても相変わらず寝ている時に顔を覗かれるのは私だけで、
ダンナは特にそのような事はないという。

ダンナは、
「物静かな龍神さんなのに・・・・気に入られちゃったのかなぁ?」
と首をひねっている。

気に入られたっていうかさ、
単純にチョッカイ出すと面白いって思われてんじゃね?

何しろ、怪異は基本‟かまってちゃん”である。
そして龍も所詮は怪異なのである。

まぁ私としては私を気にいったかどうかより、
その描いた姿が妥当かどうか、
いやもっと言えば、各部位ごとにどの生物に一番近い骨格なのか、
学術的に正確に精密に答えて欲しいっていうのが本音である。

どうせやるなら、恐竜みたいに龍の骨格標本作りたいよねぇ。

ご利益とか運気アップはどうでもいい、
龍拓のひとつも取らせてくれないだろうか?

・・・・と、常々思っている。

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