旧・伊勢神トンネルの怪人

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長い長い梅雨が明け、
やっと夏が来たと思ったら
一気に殺人的な暑さである。

このページに集う変人どもよ、生きているか?

今日は、暑さに脳がとろけて
廃人になりそうな君たちに
“処暑の怪談”として
国内屈指の心霊スポットと
呼ばれている

「旧・伊勢神トンネル」

に凸った話をしてあげよう。

あの頃君は若かった ~暇を持て余した拝み屋の遊び~

今から20年ほど前、
そう、それこそダンナと付き合い始めた頃である。

「暑いので、心スポに凸って涼みたい!!」

唐突に、そうのたまったのは、
その頃ダンナが顧問的な事をしていた
会社の社員・Iさん(女性)だった。

このIさんプログラマーなんだが、
そこそこ霊感のある人で
その絡みでもダンナと交流があったわけ。

ある時、Iさんと、
当時ジジイの所で御用聞きをしていたYさん(男性)
更に私を加えて4人でダラーっと珈琲飲んでいたら
霊感のあるIさんがそんな提案をしたんだよ。

今考えたら馬鹿馬鹿しい話なんだが、
何しろ全員若かった。

そりゃダンナは既に50を突破していたけれど、
少なくとも今より20歳は若かった。
そして他のメンバーは20代であった。
(私が一番年少だな)

ダ「そうだなぁ、暇つぶしに旧・伊勢神トンネルにでも行ってみるか」

この話を聞きながら私が思っていた事は
「伊勢神トンネルって何やねん??」
である。

何しろ当時は、まだGoogle先生も存在しなかったので
そうゆう話はマニアや専門雑誌(ムー)などでしか
されていなかった。
そして私は「ムー」は古代遺跡系記事しか読まない派である。

しかし、そんな私の心情とは関係なく
勝手に行くことに決まっていて
各々が目の前の珈琲を飲み干しにかかってるし。

そんなわけで、
もはや薄暗くなりかけた名東区を
4人で車に乗り込み出発したわけさ。

旧・伊勢神トンネルについて

ここで先に舞台となる「旧・伊勢神トンネル」について
軽く解説しておこう。

旧伊勢神トンネルとは、
愛知県豊田市の伊勢神峠にある全長308メートルのトンネルである。

正しくは「伊世賀美隧道(いせがみずいどう)」という名称らしく、
開通は明治30年で、旧の名の通り現在は殆ど使われていない。
(今使われているのはR153上にある伊勢神トンネル)

で、どうしてここが心スポなのか?だが、
結局よく分からない。

「工事中の事故で工夫が沢山死んだ」
「人柱として生き埋めにされた人がいる」
なんていうのがあるが、真偽のほどが分からない。

そして、ここで目撃されている霊はこんな感じ。

  • 女単体、あるいは子供を抱いた女
  • 工夫の霊
  • 子供
  • 戦時中に亡くなったと思われる人

中々どうして定番ラインナップだな。

もっとも当初はこんな細かい話は知らず、
ただ「出る」ってだけしか知らなかったんだが。

旧・伊勢神トンネルの霊たち

トンネルに到着したのは、確か22時頃だった気がする。

確かその日は平日で
途中の道もほぼ車通りがなく
旧道に入れば更に人っ子一人いないという有様だった。

我々の乗った車は、トンネルから少し離れた場所に止まった。

が、別にそこから降りる事はなかった。
というか降りる必要もなかった。

車の中からトンネルを見るだけで
薄~い人々が出たり入ったりしているのが
視える。

本当、クラゲみたいに薄い半透明の人型が
ウロウロとしているんだわ。

私「‟出る”ってより‟居る”って感じだな。大量生息だ」
I「男女混合だわ」
ダ「まぁ色々いるわなぁ」
Y「え!皆、何の話しているの?」

今回のメンバーで、このYさんだけは、
壊滅的に視えない人である。

我々3人が「一杯出たり入ったりしているよ」と言っている中、
一人でキョロキョロしている。
まぁそれが彼の良さなので、それは良し。

そして0感、
とりわけ幽霊を見るのがそこまで得意じゃない筈の
私にも視えたのは、
ダンナがいるという安心感や
ダンナに引っ張られてピントを合わせにいってたから
なのだろうなぁとは思う。

いずれにしろ、あんなにゾロゾロといるのを見たのは
初めてだったな。
そもそも、心スポに凸らないしね。

というわけで、
あたかもサファリパークに来ているかのように、
我々は車の中からトンネルを行きかう霊を鑑賞したんだわ。

度胸試しの二人

さて、霊は堪能したし、そろそろ帰ろうか?とした頃、
後ろからエンジン音が聞こえてきた。

見ていると原付二台に乗った
高校生ぐらいの男子2人
我々の車の横をすり抜け
トンネルの前まで行ったじゃないか。

全「おぉ!勇者きたれり!!」

というわけで、今度はその勇者(笑)を観察する。

原付から降りた2人は、
入口を少しウロウロし、
更には使い捨てカメラと思しきもので
記念撮影をしている。

完全に度胸試しである。

全「若いねぇ!!青春だねぇぇぇ~!!」

盛り上がる(一応)大人たち。
本来の目的は何処へやらである。

そのまま中へ入るのかと思いきや、
流石にそこまでの度胸はなかったのか
すぐにまた原付に乗り、
我々の横をすり抜けて
彼らは帰って行った。

まぁ確かに、その頃は今と違ってトンネルの中に
ライトなんかなかったから、
写真撮るだけなら外のほうが良いし、
それで十分だろうけどさ。

全「なんだ~、中に入らないんだ~つまんねぇ」

盛り下がる大人たち。
本当に、我々は何を見に来たのだろう(爆)

そんなわけで、我々も彼らの後を追うように
道を引き返していったのだ。

伊勢神トンネルの怪人

さて、このトンネルのすぐ傍には
小さいドライブインがある。

もっともこの時間は開いてないが、
ちょっと休憩して帰る?って話になった。

ドライブインの駐車場に入りかかると
自販機の横に例の勇者たちがいるじゃないか。

ダ「Yくんよ、彼らの横に車つけてくれんかなぁ?」

と、ダンナは運転手をしていたYさんに言い
その通りに車を寄せた。

一体何をするつもりか?と見ていると
ダンナは車の窓だけ開け
彼らに話しかけた。

ダ「君ら、上に来た子達だよね?」

・・・当時のダンナの風貌は、
恰幅もよく、トレードマークの口ひげは
その頃から健在で
威厳があるっちゃいいけれど、
ハッキリ言ってリアルヤ〇ザである。

そんな人に突然話しかけられては、
肝試しが出来る勇者も
縮み上がるというものだ。

大分、すくんだ感じで
「あ、はい」
と返事が返ってきた。

ダンナはしげしげと二人を見て、
その後周囲に首を巡らせ
とんでもない事を口にした。

ダ「あれ?二人だけ?もう一人はどうしたんだ?」

は?

ダ「どっちか分からんが、一台に2ケツして‟3人”で上に来ただろ?」

ちょっと、この発言には
我々も動揺した。

え?だって、上でもこの2人しかいなかったよ?
3人?はぁ?

「いえ、最初から2人だけしかいませんが・・・」

返答が超尻すぼみ。
そりゃそうだ、そうなるよ、絶対そうなるよ。

ダ「そうかぁ、2人だけかぁ。
あのな、実は俺拝み屋でさ、
あそこのお祓い頼まれてきたんよ」

ちゃっと上げたダンナの手には
いつの間にか愛用のゴツイ数珠が握られてる。

ダ「いやぁ、噂には聞いていたが、一杯おるのぅ。
とても祓いきれんで、今からケツまくって逃げる所よ。

・・・・そうか、2人か。
・・・・・・・気を付けて帰れよ」

いつの間にそうゆう設定になっていたのだろうか?
という疑問を巡らせているうちに
ダンナはさっさと窓を閉め、
Yさんに「車出してよ~し」といい、
車はそのまま駐車場を出て
帰路へとついた。

真相

走り出した車の中で、ダンナを除く我々が
最初に口にしたのは
勿論、3人目についてだ。

私もIさんも0どころかマイナス感のYさんも
原付の勇者は2人組だと思っていた。

それなのに‟3人目”
・・・・・
・・・・・
・・・・それって確実にさ、霊じゃん!!

ぎゃあすかと騒ぐ我々を横目に
ダンナは妙に意味ありげに沈黙する。

いい、その沈黙はいらない!!
早く、早く真相を言うんだ!!

 

ダ「いや、上に来たのは2人だよ」

いやいやいや、お前さっき
「3人目はどうした?」
言うてたやないか!!

ダ「え?あれ?

・・・・・・

・・・・・・

・・・・・・

嘘に決まっとるやろ

はぁぁぁぁぁ???

ダ「こんな時間にあんなとこウロウロするもんやないって。
だから、ちょっとお灸据えたったのよ」

なにぃぃぃぃぃ~!!

車内騒然!!
そりゃそうだ、
信じるよ、信じるに決まってんじゃん!!

ってか、うちらも信じるくらいなのだから、
あの二人は・・・

そういえば、チラっと見た時、
物凄い勢いで原付が駐車場から出て行くのが見えたが・・・・

ダ「これに懲りて、当分夜遊びしぃへんやろ?」

・・・・鬼だ、本物の鬼がここにいる!!

 

3人は脱力し、
ダンナがただ独り愉快そうに笑いながら
我々は名古屋に帰って行ったのだった。

まさか新たな怪談になっていやしないか?

まぁそんなわけで、
一応、旧伊勢神トンネルは
オバケがいるっちゃいるが、
全くもって視えない人は
行っても無駄っぽい。
(Yさんがもうそのいい例)

私は近年、たまたまその界隈に住む人と知り合い
最近のトンネルの話を聞く事が出来たが、
まぁあそこは地元民にとっては
心スポというよりも
珍走族的なものが集まる
‟リアル怖い場所”
のようだ。

それはいいんだけどさ、
あの時の勇者コンビ
あの後こんな事言ってなかったか気になるんだ。

「俺ら、肝試しで伊勢神トンネル行ったんだけどさ、
そこでお祓いに来たっていう人に
‟3人目乗せてる”って言われちゃったよ!!

あそこはヤ〇ザみたいな顔の霊能者もお祓いできんらしい
・・・ヤベェ、あそこマジでヤベェ!!」

あれから20年。
あの頃の勇者たちも
既に現在35~40歳くらいになっているはずだが

もし20年くらい前に、
お友達からそんな話を聞いたという方がいたら
一言言いたい。

すいません、
それうちのダンナです。
別に呪われたりとかしてないので
安心してください。

と、とりあえず言っておきたい。

本当、すんません(;・∀・)

 

まぁでも、心スポに行って得な事などはひとつもないので
近寄らないのに越したことはない。

そうでないと、
ダンナのような人に
無駄に怖い思いをさせられる
・・・かもしれないからな。

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