奇妙な隣室 ~怪異の通う部屋・オマケ~

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私の画室兼ねこ部屋のお隣、
大家が住む部屋に日々通ってくる怪異について
前回話したが、
あの話には後日談というか、
‟最近の話”がある。

実はあの現象に終結の時がやってきたのである。

※前回の話はこちら。
「怪異の通う部屋」

他にもある奇妙な事

あの怪異の顛末の前に
もう一つだけ大家の部屋にまつわる謎を紹介したい。

ヒヒジジイこと大家だが、年齢はオーバー80。
3DKに一人暮らしである。

足が悪く車いす生活なんだが、
まぁこの足に関しては過去に窃盗まがいの事をして
それに失敗して負った怪我が元でこうなったそうなので
怪異とは関係ない。

その他にも何か病気をしたのか、年齢のせいか
かなり呂律が回らなく、
最近は痴呆も入ってきているようだった。

夜な夜な聞こえる謎の音

この事は時々Twitterでも呟いていたのだが、
その大家の部屋から異音がする。

明らかに壁を爪で掻くような
‟カリカリカリカリカリ・・・”
という音が時折響いてくるのだ。

大家は猫などは飼っていない。
それにあれは猫が爪を研ぐ音とは違う。
かと言って、ネズミの類が柱を齧る音とも違う。

まぁ最近、うちの界隈でイタチやハクビシンを見かけたので
それも考えてみたんだが・・・
聞こえるのは‟壁から”なのだ。

うちのアパートは確かに古いが鉄筋コンクリート造。
壁の中にハクビシンやイタチは入るのだろうか?

それとも・・・ボケた大家が壁を引っ掻いているのか?
いや、手足の不自由な老人が
あんな調子で壁を掻く事は出来ないだろう。

私も試してみたが、
どうやっても同じ音は再現出来なかった。

音は主に夜間に聞こえる。
毎夜ではないが、数日に1度
予告もなく突然カリカリカリカリと始まり、
5分も経たずに終了する。

確かに轟音ではないが、
なんとも言えない異質な音だし、
音のする場所は、ちょうど私がPCを叩いたり
制作をするデスクの後ろのため
どうしても気になる。

この音について、
一番早いのは大家に尋ねる事なんだろうが、
あの大家に聞いた所で
解読不可能な答えしか返ってこないのが
分かっているので、
大家に理由を聞いた事はない。

怪異とのご近所付き合い

さて、話を本題にもどそう。

我が家の隣に時々半透明というか、
カメレオン的保護色というか・・・

一番いい例えは
「ターミネーター2」の
変幻自在ターミネーターのような怪異が
大家の部屋にやってきている。

というのに気付いて数年。
その数年の間、何か特別な事はない。

別に怪異が突如進行方向を変えて我が家に
侵入する事もなく、
姿を変化させることもなかった。

いつでも決まった見え方、
決まったサイズで何処からともなく現れ、
我が家など見えていない風に
スーっと前を通り過ぎ、
そのまま大家の部屋へ消えていく。

そんな害のない、いわば
‟ただ存在しているだけのもの”
を気にするほど私は暇ではない。

そう、怪異なんて
いる所にはいるし、
気にしなければ路傍の石に等しい。

実害(自分に)がなけりゃ
ほっときゃえぇねん。

ましてや取り憑かれている相手は
折り紙付きのヒヒジジイ。
思う存分、やるがいい。

まぁこれが、
怪異とのご近所付き合い
ってやつよ。

冷たいと思うかい?
でもな、私は霊能者でも正義の味方でも
ましてや‟慈悲深き完全善意の人”でもねぇ。

単純に‟時々怪異と関わってしまうだけ”の
一介の絵描きだ。

そりゃ私にも出来る怪異祓いはあるさ。
でもそれは自衛のためのものであり、
人の事までどうにかしたりは出来せんわ。

運が良けりゃ私について回っているらしい
お神が瞬殺する事もあるようだが
それは私の意思や都合は関係ない。

私がコントロールしているものでないから、
私自身の力ではないのだ。

祓う必要もなけりゃ、教えてやる必要もない。
これはそうゆうものだ。

怪異が消える時

そんな調子で数年間、
数日に一度通ってくる奴を見かけ
「また来てる。ご苦労様なことですな」
と思っていたんだが、
今年に入ってしばらくしてから
ピタリとその姿を見かけなくなった。

そして怪異の代りに
この野良猫親子が我が家の前の
螺旋階段の踊り場にたむろする時間が増えた。

母猫・ぱんだ

余談だが、猫娘のほうは警戒心が強くすぐに逃げるが、
母猫のほうは私との付き合いが長く、
すでに私は我が家の獣共々
「恐るるに足りず」
侮られている認識されているようで
触らせてはくれないが、横を通る位では逃げない。

この間はとうとう部屋の前に毛玉を吐かれた。
舐められすぎである。
(だが、許す)

パンダの娘さん

これまで猫と怪異の話を書いているが、
別に黒猫に限らず、猫一族というのは
全般的に見えないモノに対して敏感なようだ。

ましてや彼女たちのような野良暮らしをしていれば
尚更感覚は鋭かろう。

度胸も知恵もある母猫は、
恐らくアレについては私同様「路傍の石」と思っていたのか
怪異がウロウロしていても涼しい顔で
踊り場に寝ころんでいたが、
まだまだ若い猫娘にアレは恐怖対象だったのか
これまでそんな事をしているのを見た事がない。

怪異が姿を消してから、やっと二匹揃って
踊り場や廊下で寝転がるようになったのである。

にしても・・・
あれだけ熱心に通っていた怪異が消えたとは
一体どうゆう事なんだろう?

「あれ?そういえば大家の姿も見かけないな」

まぁ最近の大家の様子から想像すると
とうとう老人ホームにでもぶち込まれたのかもしれない。

それなら・・・
怪異がどうしたのか
何となく察しが付く。

で、今年の4月過ぎ。
大家は他界した。

部屋ではなく病院で死んだらしいが
いずれにしろ姿を見かけなくなってから
一度も戻る事なくそのまま亡くなったようだ。

怪異の望みが叶えられたのかは知らんが、
とりあえず取り憑かれた人間も
アチラ側へと居を移したのである。

更に言えば、あの奇妙な‟カリカリ音”も
大家と怪異がいなくなると共に
完全になくなった。

結局、あの音については全くもって謎のままだ。

顛末

とはいえ、何しろ私も基本は0感。
この怪異については、
たまたま一度ピントを合わせてしまったがために
その後も見続ける事になったものだ。

何処かでピントが外れて見えないだけかもしれない。

そこでダンナに
「あの通い怪異なんですがねぇ」
と聞いてみた。

ダ「そりゃもう来ないだろう。
あれはあの部屋に由来するものではなく、
大家に由来するものだからな。
対象が移動したらそれに付いていく。
そうして死ぬまでつきまとって

死ねばそのまま自分の望む所へ引き立てて行くんだ」

私「何処へ連れて行かれるんだ?」

ダ「さぁ?俺まだ死んだことないからわからんわ。
まぁただ、有り体に言えば地獄とかなんじゃないのかな?
いずれにしろ怨霊の世界だろう」

ほう、それはまた・・・
羨ましくならない話だねぇ。

ついでに例の音についても訪ねてみたら

ダ「そりゃお前にしか聞こえてないだろうさ。
獣たちは無反応だっただろう?」

そういえば・・・犬も猫もあの音を気にしている様子はなかった。
もしあれがネズミなど小動物だったら、
犬はともかく、猫は気配を察して何かリアクションをしそうである。

私「だって、あれ明らかに物理的な音だったよ」

ダ「‟怪異は人の認識を捻じ曲げる”
お前も常々そう論じているだろう。
大体な~、ポルターガイストって現象もあるんだぜぇ?
あれは物理的にモノが動いているだろう。
俺の所にくる怪だって、そうやってゴソゴソする奴はいた。
そうして考えると、その音は物理のようで物理ではないと
考えるほうが妥当じゃないか?」

・・・・・・・・・
・・・・・・・・・

まぁ真偽は闇の中である。

そんな訳で・・・・

怪異が消え、暑い夏が訪れようとしている今、
我が家の前は
猫達の絶好の夕涼みスポットとなっている。

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