正夢ギャンブラー

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私には特別な能力はないはずだが、子供の頃から
俗に言う「正夢」を頻繁に見る。

夢に友人がドレスで出てきて「結婚するの」と告げたら、
その翌週に会った際、本当に「結婚する」と言われたり。

知人が「彼氏がウイルス性の病気で入院して」
と語る夢を見た数週間後、
本当にその彼氏がウィルス性の病気で入院したり。

まぁこうゆうのが割としょっちゅうだ。

そして、数ある正夢の中でひとつ
破格の夢がある。

オークス賞

20代前半の頃、私は白山神社の裏に住んでいた。

そう、件のミノムシの一件の後に引っ越したあの部屋だ。
裏と言うか家から見たら裏だが、実際には横だな。
道路一本を挟んで、横に住んでいた。

その頃も当然絵は描いていて、
それと同時に近所の喫茶店でランチの時だけのバイトをしていた。

70歳近いママがやってる店で、お客は常連ばかり。
その中に賭け事の好きなAさんがいた。

“賭け事が好き”といっても、阿保みたいにやるわけじゃない。
「自分の小遣いの中で月いくらと決めて楽しむ」
そうゆう中々ジェントルな楽しみ方だ。

まぁ公務員だったし、賭けで儲けるより予測が当たるのが楽しいようだった。

いつもランチを食べた後、コーヒーを飲みながら競馬新聞を見ているAさんだが、
ある時
「今度、オークスがあるんだ。試しに皆も買わないか?」
と声をかけてきた。

私自身は賭け事らしい賭け事はしないから詳しくないが、
オークス賞とは、たまにテレビの競馬CMでやっている
「さつき賞」とかそうゆうものの一つらしい。
その馬券をお遊びで買わないか?という話だ。

Aさんはもう何年も店に通っているらしいんだが、
ママ曰くそんな事を言いだしたのは初めてだそうだ。

話を振られたのは、私とママともう一人の常連のOさん。
ママとOさんは「絶対万馬券当てるで~!!」とノリノリで、
Aさんから熱心におススメ馬を聞いたりしていた。

私は・・・正直興味がない。
馬よりなにより、ちょうどその時うちのテレビが壊れて、
修理しようか新調しようか考えていた。
(しかも懐かしいテレビデオ)
そんな当たるかどうかも分からんものに、びた一文出したくない。

とはいえ、客だからな。
「気が向いたら」とその場は逃げて、返事は誤魔化した。
Aさんもしつこく勧める人じゃないからな。

その日も仕事あがりに白山社へ行った。
大体朝に寄るんだが、気が向くと帰りにも寄る。
まぁ店から帰る時は絶対に前を通るからな。

願掛けなんかは特にしない。
いつも
「あ~どうもどうも。今日も無事に終了です。あい、おやすみなさい」
なんて声をかけて帰ってくる。

私の記憶が確かなら、この日はAさんが競馬の話を持ち出した以外は
いたって普通の日であった。

が、その夜変な夢を見た。

競馬の夢

私は競馬場にいた。
周りには沢山の観客。

恐らく物凄い歓声罵声が上がっているし、
声や音は確かに私の鼓膜を震わせているのに、
サイレント映画のように音がない。
そして、全体的に色のトーンが薄い。

観客の視線の先を見ると、トラックを馬が走ってくる。
競馬のCMでよく見るようなサラブレッドが、
背に騎手を乗せ全力で駆けてくる。
その凄まじい力で地を蹴る振動も伝わるのに、
やっぱり音はない。
そして馬も騎手も全体的に色が薄い。

が、何故か
馬たちの付けているゼッケンだけが
妙に鮮やかに色づいている。

その内、〇色と×色のゼッケンの2頭だけが、
他を圧倒的に引き離して走りぬき・・・・ゴールした。

「おぉ!!」
と手を握り締めた所で・・・・目が覚めた。

勿論、普通に朝だった。
いつも通り、猫が二匹同じ布団で寝ていた。

 

・・・・何だったんだ、今の夢。

競馬に興味はないが、馬は好きだ。
馬の走る姿は美しい。
まぁ私が興味を持つ理由は大体
“美しい”と“面白い”のどちらかしかない。

テレビで競馬中継をしていれば見る事もある。
実際に言った事はないが、テレビ中継で見た
記憶の中の競馬中継と、夢の風景を重ねてみる。

あれ?おかしい。

確か競走馬は皆同じ色のゼッケンをつけて走るはずなんだが、
夢の馬たちは色とりどりのゼッケンをつけていた。
そんな事はあるのかな?

・・・まぁこうゆう時は、何でも知っているダンナに聞いてみよう。

「その色を枠買いしろ!」

早速、ダンナに前日の馬券の話と、夢のゼッケンの話をしてみた。

ダ「君が夢で見たゼッケンの色は“枠の色”だ!
その色の枠を“枠買い”しろ!!」

ダンナ、何故か私以上にノリノリだ。

つーか、枠買いってなんぞや?
そもそも枠ってなんだよ?
(現在進行形でわからん)

指示をされたがサッパリ分からん。が、ダンナ曰く
「そのAさんに、枠買いといえば通じるから」
と言われ、早速Aさんにその話をした。

確かにダンナの言う通り“枠買い”で通じたが、
長年色々研究分析をしていたAさん曰く、
オークスで私が指定した色の枠が来た事はないそうだ。

そして親切におススメの馬を教えてくれたが、
結局私は枠買いをし、ママ達はAさんお勧めの馬を買った。

大当たり

で、オークス翌日。
お店に入ってきたAさんの第一声が

「凄いよ!柴ちゃんだけ大当たりだ!!」

え!マジか!!

Aさん曰く、レースの様子は私が夢で見た通り、
一位と二位の馬が他を大きく引き離し、
ぶっちぎりでゴールしたそうだ。

私はこの時2~4千円くらいしか賭けていなかったんだが、
0が一個増えて掛け金が戻ってきた。

手に入れた金は、新しいテレビとビデオを買うのに足りないが、
修理をしたら1/3はお釣りになる額だ。

 

修理代のお釣りを眺めて、ふと思い立ち近所の酒屋へ行った。

そこで酒を2升買い、「奉献酒」とのしを掛けてもらう。
そしてその足で白山神社に収めに行った。

勿論私は「馬券を当てさせてくれ」とか、
「テレビデオの修理代か新調する金をくれ」
なんてお願いはしていない。

してないが、そもそも最初からこの話はおかしい。

Aさんが馬券を買うのを勧めたのは、
本当にこれ一度きりだった。

それにAさんがやるのは馬だけじゃないからな。
競輪もやるからな。
何で馬の時だけ声掛けたんだか・・・・。

確かに今まで散々正夢は見たが、
直接自分の利になるものは見た事がない。

多分、普通にしていたら見ないんだ。
それを見たという事は
なにがしかの力が働いている
という事だ。

当時出入りしていた神社はここしかないからな。
それに、ここは境内に立派な馬の像もある。
まぁ妥当な判断だと思ったんだ。

 

思えばこの時からだな。
余分に入ってくると、酒に変えたり直接現金だったり、
少なくともその一部はそうやってお神に分ける事にしている。

別に理由はないが、何でも上に積むと崩れるが、横に並べりゃ崩れん。
お神だって棚ぼたや臨時収入があったら嬉しかろう。

この時は
「白山の主さんは酒がご所望らしい」
って思って酒にした。

はは、流石に私のような若い娘が
一升瓶を担いで奉納なんて異様だったらしく、
宮司に
「一体何があったんですか?」
と問われた。

「いや、どうやらここの神様が当たり馬券を教えてくださったらしいのでお裾分けです」
と正直に言ったら、目を丸くしてたけどな。

この調子で確か傍にいる間に2度ほど奉納させてもらっているが、
猫がいるのにアパート追い出されなかったのはそれかもな。
宮司に何処に住んでいるか聞かれたから(笑)

欲はかかないほうがいい

この時の話を人にすると
「じゃあもっと買っておけば良かったのに」
とよく言われる。
まぁ「勿体ない」とか「損した」って事だ。

確かにそれは一理あるし、頭をよぎらないわけではない。

が、多分それをやったら外れていただろう。

こうゆうのはそうゆう法則の上で成り立っている。

多すぎず、少なすぎず。
そうゆうもんだ。

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