厳しくも偉大なる 飛騨国一ノ宮 水無神社

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飛騨地方は、走っていると他所とは違う独特の雰囲気がする。

名古屋から長く伸びるR41に沿って川があるからだろうか。
周囲がうっそりとした山だからだろうか。

いや、そんな風景は他所でいくらでも見ているし、
田舎であればそう珍しくもないはずなんだが、
山々の間を漂う空気は独特で、それが私を魅了する。

その独特の雰囲気に包まれた道を走り抜けた先にあるのが「飛騨国一之宮 水無神社」だ。

飛騨国一之宮 水無神社(みなしじんじゃ)

電車で言えば高山駅の一つ手前、道で言えばR41を北上し、
京都を思わせる市内中心部へ入る手前にあるのが水無神社。
飛騨国一之宮である。

ここの主祭神は御歳大神(みとしおおがみ)とされているが、
他の配神と全部まとめて‟水無大神”とも呼ばれる。

神社の名前である「水無(みなし)」の由来は所説あるらしいが、
元は「水主」「水成(みずなし、みなし)」と言っていた事もあり、
水源の神とか、川神さんという事になっている。

それがどうして「水無」なのか考えると、
同じ漢字を当てる「水無月」の語源由来で考えるといいんじゃないかと思う。

6月の呼び名「水無月」は‟無”を‟の”の意味として「水の月」とするそうだ。
だからここも‟水が無い”の意ではなく「水の神社」すなわち「水の神」という事なんだろう。

んで、ここのご神体とされているのが傍にある位山(くらいやま)
位山は宮川と飛騨川を分ける分水嶺で、それで川の神、水源の神ってわけだ。

最近は‟頭お花畑系”のスピリチュアル記事にパワースポットとして、
お気楽極楽な雰囲気で紹介されているが、
私としては全くそんな風には思えない。

‟畏怖”という意味であるが、私はここに来るとある種の厳しさというか、
怖さを感じる。

それもそのはず、ここはその昔農民一揆の集会場になったり、
禁忌を破った宮司が怪死したなんて話もあったり、
あまり他所では聞かない激動の歴史を持つ神社なのである。
(お花畑の住人はこうゆう部分には全く触れずに、
やたらエネルギーや開運という事を言うよね。
あのな、そんな人にとって都合いいだけの神なんていねぇよ)

そういえば、ここの前に寄った八幡社の話に登場した両面宿儺には、
位山および水無神社にまつわる話もある。

位山に住んでいた七儺(しちな)という鬼を退治して頭髪を水無神社に納めたとか、
両面宿儺は神の化身で天船で位山に下りてきたという話もある。
(そうすると両面という二面性は日本を二つに分ける分水嶺の比喩というか、
なんかそんなイメージになってくるんだけど)

まぁ神社抜きでも位山は色々言われているよね。
ムー的な話だと、ピラミッドだったとかUFO目撃談とかね。
(んで割と近年の位山アレコレソレにはうちのダンナも一枚噛んでるってか、
あのおじいさんとは知り合いで、私も確か会った事があった筈笑)

私としては、位山に限らずこの界隈の山々は、
何というか独特の雰囲気を放っていると思う。

奈良とか石川でも結構山の中走ってるんだけど、
飛騨高山ってなんか走ってると違うんだよな。
41号を走ってきても、途中から「あれ?」って思う。

何というか‟居るモノ”が明らかに違う。
そうゆう意味ではうちの実家周辺となんか似ているんだ。

飛騨地方は古代王朝があったとか、位山には天孫降臨伝説もあるしね。
‟消えた謎の王朝”とかって世界ふしぎ発見やムー編集部の食いつきそうなネタだけど、
実際山のこうゆう雰囲気を感じると興味湧くよな。
(ムーでは去年、記事を掲載していたらしい。読めばよかった)

いずれにしろ、ここは今も古い怪が息づく土地なのだろう。

実は過去、意外な人物が宮司

ここの神社で面白いというか、聞くと「おぉ!」と思うのは、
現国の教科書には必ず載っている文豪・島崎藤村のパパンが宮司をしていた事もあるって話。

かの有名な藤村の長編小説「夜明け前」の主人公のモデルがパパンという話だからな。
(パワースポットとか言うより、私はこうゆう話が好き)

真面目に文学やっている人なら一度は目を通すか、名前は知っている作家のパパン、
さらにその作家の小説の主人公のモデルになった人が宮司をしていた神社というのは中々ない。
ちなみに境内内にはその歌碑なんかもあったりする。
(でもこのパパンも壮絶な最期だったんだけどね)

水無神社の樹木色々

さて、水無神社と言ったら境内に惜しげもなくある樹齢500年を超える木々だ。
ちかばの桂とか銀杏とか色々あるんだが、有名なのは以下の2つだろう。

水無の大杉

先に神社自体の話をしてしまったが、この神社を訪れると、
拝殿より何より最初に目につくのが鳥居横にある大杉だ。
どうもご神木はまた別にあるようなんだが、もはや神社のシンボルだよね。

高さ45m、周り6.45mという大杉は勿論県の天然記念物。
神社巡りに楽しみが幾つかあるが、そのうちの一つがこんな巨木を見る事。
別に木について詳しいわけじゃないが、時間がそのまま形になっているような気がして好きなんだよ。
これは樹齢800年と推定されるそうだから、これがこのまま800年という時の姿なんだよね。

前に来た時は周りに囲いなどなかったんだが、いつの間にか囲いが出来ていた。
・・・これってやっぱりやたらペタペタ触る人とか増えたからなんだろうか?

ちなみに写真左の石碑が例の農民一揆(大原騒動大集会)の際に非業の死を遂げた神職や農民の碑だったはずだ。

飛騨の銘菓のモデル「ねじの木」

それと境内の木で必ず話題に昇るのがこれ。

これは「ねじの木」と言って、元々は大鳥居の横にあったものをこちらに移動させたそうだ。
この木見た目からは分からないが、ヒノキだそうだ。
一般的に見るヒノキと大分姿が違うのは色々伝説があるからなんだが、
その伝説をザックリ言うと
「切られるのが嫌で捻じれた」
という話。

まぁそこまで必死にやった割に、この木自体はもう枯れているんだが、
今も霊力の宿る切株として大事にされているという。

高山には‟こくせん”という駄菓子があるんだが、
そのひねられた形は、この木が元になっているそう。
(美味いよ。少なくとも‟とちの実せんべい”よりは遥かに美味い)

前に来た時は屋根などなかったんだが、いつの間にか屋根付きになっていてびっくりした。
これもやっぱりペタペタ触る人対策なのか?
まぁ結局枯れ木なので保護の目的もあるんだろうけどね。

一宮稲荷社

境内内には白川神社や神馬を祀る社がいくつかあるが、
拝殿を正面に見て右側に朱塗りの鳥居が並ぶ所がある。

そのいかにも稲荷っぽい鳥居を潜った先にあるのは、
やっぱり「一宮稲荷社」

ここの社はあまり話題に上らないんだが、前回も今回も水無神社に寄ったのは、
メインよりここに用があったからだ。

私が・・・というよりダンナがここに縁がある。
それで高山方面に来るのなら是非一度顔を出してみようと思って前回ここまで走ってきたわけ。

んで、今回は前回来た時に頼んだことのお礼だな。

はは~、実は前回来た時帰りは郡上回りでR156を帰る予定だったんだが、
どうにも帰りまでスマホナビのバッテリーが持ちそうになくてな。

岐阜のこんなに上まで来るのは初めてだったし、オマケに帰りは夜だ。
ナビが落ちたら・・・無事に帰れる気がしない(;・∀・)

そこで~、まぁ普段は初見の所で何か言う事はないんだが、
ここはダンナと浅からぬ縁もあるしというわけで、

「帰り道、ナビ(スマホ)の電池だけ死守してくれ!!」

・・・って、水無の神というより、ここの稲荷社に泣きついたんだよ。

※この辺はカーブというより道に施されたすべり止めの溝がえげつなくて、
二輪だと昼間走っててもたまにヒヤっとする。
すべり止めのある道でバイクがやたら慎重に走っていたら、
「あぁすべり止め苦手な人なんだな」と生暖かい目で見守ってあげて下さい。
タイヤや溝の深さや酒類によって本当にハンドル持って行かれるんですよ・・・。

案の定、帰り道はスマホも予備バッテリもすっからかんで、
R156は笑えるぐらい真っ暗だった。

「ナビが落ちたらカーブがあるのかすらわからん」
という状態で走っていたんだが、
ナビがなくても帰れる分岐が見えた途端に
「もういいやろ?」
といわんばかりに・・・・ナビが落ちた(低電力モード)

あまりにも絶妙なタイミングであった。

これを「たまたま運が良かった」と思ってもいいが、
そのように送りを頼んだのはこちらなので、
お礼に参上つかまつったのだ、今回は。

前回のお礼を述べて
「今回も帰りは夜ですが、バイクが新しくなったので大丈夫です!!」
といって、やっぱりここでもバイクを自慢する。(またか)

 

それはさておき、ここの社はちょっと不思議なんだよな。
初めて来た時もそうだったが、今回も実際社の前にくると小さいんだよ。

説明しにくいんだが、社を目の前にしていると見たままに見えるが、
その場を離れて思い出すと、頭の中の社はもっと大きくて形が違う。

こう言っちゃなんだが、私は「賢いですね」とは言われなくても
「記憶力いいですね」とは言われるほうだ。
特に映像記憶は職業柄(ってか職業病)でいいほうだと思う。

仮に並みの記憶力でも、目の前から消えた途端に3cmのものを1mと思ったりしないだろう。

が、何でだか、たまにこうゆう事がある。

実際は白木の社殿で、写真を見ると「そうここ」って思うのに、
頭の中で思い出そうとすると、どうしても朱塗りの社殿にしかならない所とか。
誰もいなかったはずの所に人が立っているとか。

どうもこれも一種の怪のようなんだが、それで見るとこの社はもっとデカイ。
デカくないとおかしいというか、むしろ小さいのが不思議な気がする。

ダンナ曰く、ここのお遣いさんは黄金の毛皮をまとった非常に立派な霊狐だそうだから、
そんな事もあるんだろうかね。
まぁそれとは別にたまに小さいのもいるらしいんだけどね。
私、どちらかというと‟小さいの”に会ってみたくて来てるんだけどな(笑)
なんか、凄く可愛いらしいんだよ、小さいの。
ダンナの加齢臭プンプンさせて行ったんだけどな。見れなかったなぁ(;・∀・)

ここの社の由来と言うかそうゆう細かい話は何処を探しても何故かない。
社務所で聞けば何か聞けるのかもしれないが、とりあえずザックリ調べたくらいでは出ない。

社にあるのぼりにも‟正一位”の文字はなかったから、勧請元は伏見ではないかもしれない。

境内内の白川神社は、元は白川村尾神・福島にあった白山社を持ってきたものだと言うし、
回廊に沿って大量の末社があるからなぁ。
この稲荷も元は違う所にあったのが来たのかもしれないな。
(なんかあそこだけ違うんだよ)

ご朱印・神紋

ご朱印は前回伺った時に既に頂いているので今回はない。
んで前回頂いたのがこちら。

ご朱印はスタンプではないんだが、やっぱり神紋の図案などは職業柄つい見てしまう。
ここの神紋は「水瓢箪」
よく見ると6個の瓢箪で構成されているが、雪の結晶にも似ている。
ご神体位山に積もった雪は春に溶け川となるので、
そうゆう意味でも中々‟らしい”文様である。

 

私は見ていないので何とも言えないが、
他にも水無神社と言えばアニメ「氷菓」の舞台としても有名らしくて、
最近は聖地巡礼で訪れる人も多いらしい。

いくらここのお神が厳しいとはいえ、境内で変な事さえしなけりゃ、
多少「萌~」と言っていても怒りゃしないので、
作品が好きだという人も一度訪れてみると次に作品を見返す時、
色々な考察が出来て面白いと思うので、是非どうぞ。

飛騨国一之宮 水無神社公式HPhttp://minashijinjya.or.jp/

※余談というか二輪の人はこの手前のカーブ気をつけましょう。
私は今回通らなかったので何とも言えないけれど、前にCB400SSで通った時、
すべり止めでかなり怖い思いをした記憶がある(;・∀・)

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