絶滅危惧種の集う家

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18の時、名古屋にやってきて最初に住んだ部屋は
何の変哲もないコーポの一階だった。

そしてそこは40年の人生の中で唯一、裏はおろか
周囲1kmに神社仏閣が存在しない家だった。

そこで、まさか、あんなに恐ろしい事件が起ころうとは・・・

日照権0物件

そのコーポは一見普通の建物だった。
二階建てで、全6室の2DK。
南向き、トイレと風呂は別。
ここだけ見ると好条件。

が、我が家だけは“日照権ほぼ0”だった。

我が家はコーポの一番東の一階だ。
東(うちの真横)は、かなり大きいマンション。
南には小さい庭を挟んですぐ民家。
西は当然他の部屋が2部屋。
北は北で通路を挟んですぐ民家。

確かに南向きという条件ではあったが、うちだけ
吸血鬼が住んでも大丈夫なほど日光が入らない。

部屋を探してきた奴は“南向きという条件だけ”
でここに決め、現地は見なかったらしい。

そこを巨漢(笑)の友人とシェアし、
ビザなしイラン人から唐突にもらった猫と一緒に暮らしていた。

そんな場所だから快適ではないが、基本的に外にいる事が
多かったので、悩みは洗濯物が乾かないくらい。
あと、上の家族連れが深夜でもうるさいとか。

そしてお約束、怪現象

その部屋に何かあったというよりも、
私や同居人が何処ぞで拾って来たものが、
たまに室内をウロウロしていた。

同居人が完全0感&直感壊滅だったら良かったんだろうが、
大体、こうゆう時に組む奴というのは“類友”と相場が決まっている。
友人も中途半端に怪異を察知する奴だった。

それは良いんだが、何かある度に
「あんたが拾ってきたんでしょ!!」
と全部私が悪いという事にされていた。(何でや?)

襲撃者は突然に

そんでも1年暮らし、翌年の秋口くらい。

洗濯物を取り込もうと、ベランダに出て一枚のタオルを手に取った。
乾いてはいるが、乾きたて!みたいな爽やかな手触りがない。
何しろ日照権0だからな。

で、物差し竿から外そうとして手が止まる。
タオルに茶色い葉っぱがついている。
葉っぱというより木くず?みたいな小さい物体。

取り込むついでに、タオルを思い切り払った。

が、その木くずが・・・・宙に浮いている。

いや、そうではない。
タオルから空中の木くずまで細い糸がついている。
しかも見ていると、それが糸を手繰って再びタオルに張り付いた。

え~と、これって何かで見たよな。
絵本でキャラっぽく出てくるアレだよな。

書き損じした文字をグチャグチャってやった後に
目玉つけて似せるアレだよね。

・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・

ミノムシ。

普段何があろうとも悲鳴はおろか、眉1つ動かさん私が・・・
流石にこの時は叫んだ。
叫んで超高速で部屋に戻ったわ。

絵本なんかだとユーモラスに可愛く描かれるミノムシだが、
アレの中身は餓の幼虫

叫ぶわ、叫ぶとも。
私はスプラッタよりも幽霊よりもこの世でが、
特に幼虫系が一番嫌いだ!!

もし罰ゲームで
“目黒寄生虫博物館を絶対に目をつむらず一周する”位なら、
“旧伊勢神トンネルの真ん中で10分間一人マイムマイムを踊る”
ほうが遥かにマシだ!!

それはさておき、
別にミノムシがいる事は不思議ではない。

確かに大きな木はないが、庭は草ボーボーだし。
(日照権0でも生い茂る雑草の逞しさ)
傍に緑地公園もあるから、風に吹かれて飛んできたのかも。

確かに中身を考えると気持ち悪いが、
現物を見るのは初めてだ。
(うちの実家は田舎だけど生息地ではないので)

今やミノムシは絶滅危惧種だと言うしなぁ。
気持ち悪いが珍しいモンみた
・・・と、この時はその程度しか考えていなかった。

問題は翌日からだ。

栄えるミノムシパラダイス

翌日、「流石にもういないだろう」と
窓開ける→ベランダに出る
→後ろの洗濯籠を取ろうと振り返る~
か・ら・の

・・・・・・・・なんじゃこりゃっっ!!

 

壁にミノムシが一匹二匹三匹四匹・・・
ミノムシ・・・増えてる。

そのまま洗濯籠を抱えて部屋へバック。

更にその翌日。
壁にミノムシが5、6、7、8~

更に翌々日。
壁にミノムシが15、16、17、18~

このようにミノムシは着々と増え続けた。
数日後には壁の“ミノムシアパート”は満室になり、
網戸にまでコロニーを建設しにかかったミノムシ。

なんぢゃごりゃっっ!!

我が家のベランダは、いつの間にか
ミノムシパラダイス
になっていた。

集合体恐怖症の人が見たら引き付け起こしそうな勢いで
壁と網戸にミノムシ、ミノムシ、ミノムシ。

・・・ミノムシって絶滅危惧種だよね?
コッソリ隣の壁を見ると、何故か隣の壁は無事。

我が家だけが、
ミノムシたちの“約束の地”
になっていやがる。

ミノムシにとっては天国。
虫嫌いにとっては地獄。

去年はこんなことはなかった。
なんでうちだけ腐海に飲まれそうになっているんだ。

友人は殆ど男の所にいたため、
この状況を分かっていなかった。
ある夜、やっと帰宅した彼女に上記の事情を
かくかくしかじかと説明すると・・・

「あ、丁度いい、引っ越ししよう」

そしてこれを機にルームシェア解消となる。

ミノムシをきっかけにお互いの不満が大爆発したんだな。
致し方ない。他人と住むのは大変なんだ。

向こうは向こうで男と住んだほうが生活の面倒を見てもらえるし、
何より「お前といると怪異に巻き込まれるから嫌だ」
と常々言っていた。

私も私で男癖が悪く、チンコサイズで
男の良し悪しを決める女と一緒にいるのはもう嫌だ。
向こうは“私のせいで怪異に巻き込まれる”と言っているが、
こっちは友人のせいで何度男女の愛憎劇に巻き込まれた事か。

で、すぐミニ〇ニに駆け込み、引っ越した。
ちなみに↑のような不満をぶちまけておいて、
「私は学生のアンタと違って頼れる友達がいないのよ」
と彼女が言うので、今度は同じアパートの違う部屋に
それぞれ住むことになった。

このアパートというのが、石川白山に総本山のある
白山神社の裏だったというわけ。

追い出されるもの、残るもの

この後の展開がまた凄かったんだが、
掻い摘んで顛末だけ述べると、
その友人はアパートを追い出された。

更にその後、付き合っていた男と共に色々大問題を起こし、
結局男とも別れて実家へ帰っていった。

追い出された原因は、彼女が飼育禁止だったにも関わらず
猫を飼っていたって事なんだけど・・・・
猫はうちでも飼っていた。

当たり前だ、引っ越しを理由に猫を捨てたりしない。
例のイラン人からもらった猫も、その後に増えた猫も
しっかりうちで飼っていた。

しかもうちは6階の友人の部屋と違って、アパート3階。
うちの窓の真横は3階建ての大家宅と1mしか離れてない。

にも拘らず、私は追い出されるどころか、
時々大家から差し入れまで貰って暮らしていた。

この差は多分素行の違いと、
大家の爺さんが白山神社の氏子だった事だろう。

まぁ友人は↑のようなヤツなので夜中に揉めたり、
その延長で私の所に駆け込んできて
「二股がバレた!!〇〇に刺される!!」とか
大騒ぎしてたからな(;・∀・)
猫は口実。一番はそこだろう。

その点私は大人しいもんだ。
何しろ部屋にいる間は黙々と絵描いてたんだから。
(まぁ締切り前とかバーサク状態で叫んでたけど)

部屋のベランダから見える神社は、
なんか気に入って毎日参拝に行っていた。
そうして朝早くに行くと結構な確率で大家がいた。

何度目かに会った時
「若い人が毎日来るのは珍しい」
って妙に感心したように言っていたからな。

今は老いも若きも皆神社に行くが、
当時は少なかったし、ましてや有名な所でもないしな。

でも、大家のようにずっとそこにいる人にとっては
大事なものだ。
自分が大事にしているものを他所から来た娘みたいな
年の奴が拝んでりゃ多少の贔屓はしたくなるんだろう。

それに確かに差し入れももらったが、
大家が日本酒好きと聞いたので、酒処の実家から時々
珍しい酒や珍味を送ってもらって献上していた。
世渡りに“愛想”と“袖の下”は欠かせない(笑)

何だかんだで居心地のいい部屋で5年は住んだ。
不思議なもんで棲家を変えると家の中で怪現象が起こる
回数は劇的に減った。

それが何故かは分からない。
心当たりがありすぎて特定できない!(爆)

ここに住む間、大家だけではなく社の主にも何かと世話になった。
不思議な事が幾つもあった。
勿論、その全てが主の恩恵だと証明出来ないが、
少なくとも私はそう思って感謝している。

未だに謎の残るミノムシ大量発生

あれから20年近く経つが、
その間にあれほどのミノムシを見た事はない。

それどころか、ミノムシ自体を見たのはたった一度。
しかも、死にそうな一匹がやっと壁に張り付いているだけだ。

やっぱり、ミノムシは減っているのだ。

名古屋は広いようで狭い。
知り合う人の中には、そのコーポ近辺に住んでいる人もたまにいる。
その度、ミノムシが大量発生した事があるか聞いてみるが、
誰一人としてそのような目に合った事はないという。

件の社には今も時々顔を出す。
10キロ程度しか離れてないからバイクなら30分もかからねぇ。

昔みたいに早朝の人っ子一人いない境内を歩いていると、
時々薄っすら思う事がある。

あのミノムシ大発生って、まさか自分のお膝元に呼ぶために
ここの主がやらかした事じゃないよねぇ?

虫は下等と言えばそうかもしれないが、
不思議とそうゆう人外のモノの意思を運んでくるという。

山神さん、まぁ山持ちのお神っていうのは、
私の感覚で言えば、物凄く生命の根源に近い所に御座す。

ミノムシを動かすことくらい、
まばたきすんのと変わらんのかもしれない。
こんな推測は非常に非現実的で私らしくはないが、
実はもう一つ不可解な事が起きていたから思う事。

このバタバタの引っ越し数日後。
不動産屋立ち合いで部屋のチェックをした。

担当の兄ちゃんと部屋へ行き、隅々までチェックして、
最後にベランダも見た。

そしたら、
引っ越し時にあれだけいたミノムシがすっかり消えていた。

同時にやってきて同時にいなくなるなんて・・・
ミノムシの習性としてありなのか?

もしも本当にこの一件の首謀者が白山のお神だとして、
理由はさておき、私を呼びつけるためにやったとしたら

・・・・・・

・・・・・・

・・・・・・

えげつねぇ!!(;・∀・)

大事な事なのでもう一度言う。

虫攻めに合うくらいなら、
大島〇ルの炎上している物件に住むほうがマシ!!(笑)
(そんな事考えてるから虫攻めに合うってツッコミ禁止w)

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