年末年始、お年賀最前線を駆け抜けろ ~実録・郵便配達戦記~

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私には人生で4年ほど絵から離れた時期がある。
その4年間、何をしていたかというと
「郵便配達員」
をしていた。

そう、真っ赤なカブで町中を駆け巡っているアレだ。

郵便屋になった理由は色々あるが、
要約するとこの一言に尽きる。

‟あの赤いカブに乗りたい”

そんな馬鹿な理由で宮沢賢治の手帳メモのように
毎日毎日手紙を配達しまくったのである。

知られざる郵便屋事情

さて、歳の暮れが近づくと話題になるのは「年賀状」

これが始まると、日頃注目されない郵便局に少しスポットライトが当たる。

先日もテレビで
「下手過ぎたり達筆すぎる郵便物は誰が分別しているのか?」
というものが取り上げられていて、
その回答として
「超有能な郵便区分機がやってくれる」
と大々的に紹介されていた。

そう、あたかも‟ほぼ人の手など掛かっていない”と言うがごとく。

が、元現場の人間としては
「嘘をつくな!!」
と声を大にして言いたい。

確かに、大体の郵便物は区分機が区分してくれる。
そして大よそ配達順に並べてくれる。

しかし、テレビではそれ以上ツッコまなかったが、
更にそれを我々のような配達員が一枚一枚目視で確認している。

区分機は基本‟郵便番号”で区分している。
だから、郵便番号だけが名古屋で、
実際には遥か彼方の住所の掛かれた郵便物が混じっていたりするし、
機械にかけられない厚みの大型郵便物などは、
人がやるしかないのである。

そんな訳で、通常郵便に加え年賀郵便が入ってくる12月は、
郵便局の書き入れ時ではあるが、
それと同時に配達員にとって‟地獄の残業&連勤祭”の始まりだ。

郵便局の年末年始

年末年始がどれくらい忙しいか?というと、
クリスマス前後から年明け6日7日あたりまで休みがない。

人にもよるが、とりあえず私がいた支店は10~2週間強休みがないのが
通常運行で、
年内中は通常の配達から戻った後に年賀の仕分けをする。
だから当然、定時で上がるなど許されない。

むしろ、年末の残業に向けて残業を温存する。
(労働基準~の絡みがあるから)

大晦日などは22時近くまで年賀の仕分け&年賀の積み込みをし、
フラフラになりながら「良いお年を」と同僚と別れ、
翌日の元旦の朝の6時半には
「明けまして・・・おめでたくねぇよ、ちくしょぉ!!
元旦なんて単なる昨日の続きだ!!」
と顔を合わせる。

ちなみに、通常は8時からの勤務だが、
元旦だけは7時から。

そしてテレビでは華々しく「出発式」として報道されているが、
名古屋の一支店などは、特にそのような特別な事はなく、
ちょっと局長などからお話があり、
叩き出されるように配達に出ていくのだ(笑)

それでも、普段と違い、皆が一斉に出るので、
その光景は中々見物。

疲労困憊な時期ではあるが、
私は、この出発の時が一番好きだった。

うちはこんなに華やかではないが、バイクが続々と出ていく様子は
この動画が一番近い気がする。

ちなみにうちの場合は、入口で皆が見送ってくれるわけじゃなく、
疲れ切った顔の課長が一人ぽつりと誘導灯を持って立っていて
「は~い、いってらっしゃ~い~誤配すんな~事故すんな~」
と地味に送り出すだけなんだけれど。

せめてT-SQUAREのTRUTHを大音響で流し、
チェッカーフラッグでもぶん回してくれたら、
皆の配達魂に火が付くだろうに・・・
と思って部長に提案したが、その場で却下された。

※TRUTHは、その昔フジテレビのF1のテーマソングだった、
聞いたら思わずアクセルをベタ踏みしたくなる魔曲。
まぁ西部警察のOPでもいいんだけどね。

元旦は一日2回配達に出る

こうして、いつもの配達より2時間は早く年賀の配達に出ていくのだが、
何しろ年賀状は多い。
多すぎて、一度で全てが乗りきらない。

実は郵便のカブの後ろについている箱は、
ロックを外せば高くなり、かなりの収納力を発揮するんだが、
年賀の時はそうゆう問題じゃない。

ボックスにぎちぎちに納められた年賀状はクソ重い。

「たかが紙」というやつは、紙の山に潰されて死ね。
この世には束にした紙ほど非情なモノはない。

本当、重いんだよ。
オマケに前の集配鞄(バイクの前に着けている黒い鞄)にも
パンパンに詰まっているわけで、
もう前も後ろも重すぎるのだ。

この時だけは、誰一人として「過積載」という言葉は使わない。
皆詰めれるだけ詰めて出る。

そして配り終わると一旦局まで取りに戻り、
また配達に出る。
(配達区域が遠い場合、途中まで車でまとめて持って行き、
そこを中継ポイントにする)

それをその日配達予定の年賀状が無くなるまで、延々と繰り返す。

が、それも午前中に配り終えなければならない。

午後には、ハガキではない元旦指定の郵便物が待っているからだ!

確か「書状年賀」と呼ばれていたはずだが、
今度はそれを配達ルート通りに‟順立て”して、
また午前にまわったルートを回る。
※順立てとは、配達員が配る順番通りに郵便物を並べる作業の名称

この書状年賀も結構ある。
しかも装飾がついていたり、妙に分厚かったり、
当然大型郵便もある。

夕方までにそれを配り終え、
再び年賀状の仕分けだ!!

3日、4日には、もはや皆魂が抜けそうになり、
あるものは栄養剤片手に、
あるものはゲシュタルト崩壊を起こし、
あるものはナチュラルハイで
正月が終わるまで過ごすのである。

もはや古文書解読レベル!謎の年賀状続出

テレビでも紹介されていたが、千や二千を超える年賀状を処理していると、
絶対に「これは一体何処の古文書?」という
壮絶な文字で書かれた年賀状が複数・・・いや、かなり大量に出てくる。

そう、区分機が判別してくれるのは、あくまで‟町別”と‟番地”くらいまで。
届ける家まで全部見てくれるわけじゃない。

毛筆で達筆すぎて読めない!はまだいい。
一瞬「あ?」と思っても、結果的に読める。

問題は「こいつは何処の幼稚園児が書いたんだ?」
のレベルの絶対に小学生以上が書いている年賀だ。

逆にね、本当に子供が子供の文字で必死になって書いたのは、
まだ許せる。
「あ~頑張って、お友達や祖父母に出そうとしたんだね」
という訳で、数人がかりで
「あっちの家じゃない?幼稚園の孫がいるって言ってた」
とか、
「あの家にこの名前っぽい子供がいるから、聞いてみる」
とか、
結構皆で必死に家を探して届ける。

だが、単純に字の下手過ぎる大人が、
やっつけで書いたようなもの・・・これは駄目だ!!

「くそ!!差出人の名前すら読めん!!返還すら出来ん!!」
「裏面から察するにPC使えるんだから、宛名もプリンターにしろ!!」
「漢字ドリルを3冊くらいやれ!!」

という具合で文句を言いつつ、皆で解読する。
(郵便局員は基本真面目。報道されるのは悪い事ばかりだが、
基本は皆なんとか届けようとするんだよ)

 

壮絶年賀その1「地図を描くな」

数あるこのような凄い年賀状の中で、一番笑ったのは
住所が途中まで書いてあり、途中から地図が書いてあったものだ。

文字は読めるんだが、住所の続きが地図ってどうゆう事?

壮絶年賀その2「外観を描くな」

その1の別パターンとして、中途半端な住所と宛名が書いてあり、
横に「緑の屋根の家です」
とか外観特徴が書いてあったりする(笑)

おいこら、お前!日本郵便舐めんなよ!!
・・・・届けたったぜ!!(爆)

壮絶年賀その3「あぶり出しかと思う」

毎年あるのが、裏面もしくは表が真っ白の年賀状の混入。
恐らくまとめてプリントアウトして、
確認せずそのまま投函したものと思われる。

ちなみに、ハガキは住所を書くほうが「表面」
文字や絵などを書くほうが「裏面」だ。

表が真っ白なものについては、
裏面を見てリターンアドレスがあれば差出人へ返還する。
裏面にも差出人住所がない場合、
「返還不可能」という扱いになる。
(実際返しようがないし)

だが、裏が真っ白については一向にかまわない。
というか、基本我々は裏は見ない。

配達員的には宛先さえ書いてあればいいのだ!!(爆)

もし、あなたの元に裏面が真っ白な年賀状が届いたら、
それはきっと、上記のような理由である。

※本当、毎年かなりの数があります。

壮絶年賀状その4「呪いか!!」

これは配達に困るという種類のものではないが、
一度度肝を抜かれる年賀状を見た事がある。

届け先は私の担当地区の「〇〇党事務所」

まぁ裏はね、普通に書いてあったんだよ。
差出人なかったけれどね。

で、別に見る気はなくペラっと裏返しちゃったんだけど・・・
そこに・・・・

米粒くらいの文字で裏面一杯にびっちりびっちり、
何かが書き込まれていた!!

内容は読んでいないが、思わず隣の配達員に
「ちょ、これ!!」
と見せてしまった・・・
(非常に驚いて「なにこれ、怖い」と)

何が書いてあったかは不明だが、その書き込み具合に
思わず「呪いか?」と思わずにおれなんだ・・・

壮絶年賀状その5「タレントからの年賀状」

実は、お年賀の中にはタレントさんからの年賀状も入っている。
その年もある配達員が
「すげ~!!この宛先不明年賀、ガ〇石〇からだ!!」
と見せてくれた。

普段見ない裏面を見れば、そこにはいい笑顔のガ〇石〇が。

どうも彼はガ〇が好きだったらしく、
「いいなぁ、俺も年賀欲しいなぁ」
といいながら、「あて処に尋ねあたりません」のスタンプを
ガッツリと押していた(笑)

年賀ではないので余談だが、
実は私は「躍る〇ンマ御殿」のネタ採用賞金と思われる
現金書留を届けた事がある(爆)

年賀状はお早めに。でも出す前にチェックしろ

他にも色々あったはずなんだが、
今ざっと思い出せるのが以上のような年賀状だ。

年賀状は面倒だとか、郵便局の陰謀だとか言われているが、
私は今の時代だから手で触れるものが届くというのは、
逆に良いものだと思うんだがなぁ。

あ、まぁ、去年は忙しすぎて出せませんでしたが!(笑)

今年の年賀状の販売は既に始まり、
受け付けは12月15日から。

いいか、間違っても15日より前には出すな。
そして絶対に元旦届を狙うなら、25日までには必ず投函するんだ!!

実はね、郵便局ってハロ〇でブラック認定されているほど激務なんだよ。
(郵便局に応募しようとすると、受付で「本当に大丈夫ですか?」
と今一度考え直すように促されるらしい)

別に年賀状を出すのは構わない。
が、少しでも早く正確に仕事が出来るように、
宛先は丁寧に書いてほしい。

ついでに言えば、年賀状はコンビニなどではなく、
その地域の配達員から直接買ってくれ。

ノルマ大変なんだよ、皆!!

と、いう事で、郵便配達員時代のアレコレソレは、
まだまだあったりするので、
それはまた次の機会に。

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