パワーストーン奇譚

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世の中には
「パワーストーン」
と呼ばれるものがある。

“パワー”とついてはいるが、実際はただの鉱物であり、
人工だろうが、天然だろうが
“ただのモノ”でしかない。

が、しかし、不可解な事が全くないとも言えないのが
このパワーストーンと呼ばれる存在である。

パワーストーンというもの

私はあまりスピリチュアルな物は持たない主義だが、
天狗顔のお神がおわす某社の御守りと
ダンナがたまに作ってくれる御守りだけは
常に財布に携帯している。

が、別に常に携帯しているのがその二つというだけで、
他に所有していないわけではない。

世に言う所のパワーストーンブレスレット
幾つか所有している。

これらは常につけているわけではなく、
必要に応じてつける。

ここ数年のお気に入りは
‟プレナイト”という石で出来たもので
主に暑い時期になるとよくつけている。

理由は単純で
見た目が涼し気だからだ。

大焦熱地獄もかくやあらん
という夏の名古屋で生き残るには
ビジュアルで涼むというのも大事である。

ほぼ所有しているブレスに近い写真がこちらです。

ここでこのような話を書いているから
多分、大多数の人が
「何かパワーを感じて!」とか
「深い縁があって購入した」
というのを期待するだろうが、
当然ながらそんな事はない。

単純に知人の占い師から鑑定のオマケでもらったのである。

カゴに大量に入れられたブレスレットの中で
これだけが美しく見えたから
拾い上げた・・・だけ。

とはいえ、私の好みで考えたら
通常もっと黒い石を選んで良い場面なのに
それらを無視してこのブレスを選んだ事こそが
直感のなせる技なのかもしれない。

パワーストーンの絡むちょっと不思議な話

パワーストーンと呼ばれているものの、
それそのものは、どんなものでもただの鉱物。

正直、ただの石ころに何かを期待するほうがどうかしている。
が、そう言い切ってしまってもつまらない。

というわけで、前振りが長かったが
このパワーストーンについて少し不思議な話がある。

ある客と水晶の観音さん

20代の頃、一時水商売をしていた。
何しろ18で実家を出てから一人暮らしゆえ、
金はいくらあってもいい。

元々酒が好きというより
「どれだけ飲んでも酔わない・やらかさない」
という体質の私には
短時間でそれなりの額を稼げるこの仕事は
都合がよかった。

確かその頃はラウンジで働いていたと思う。
その日も普通に仕事をしていた所に
ある客がやってきた。

見た事がないし、誰も知っている様子がないので
多分“一見さん”
そして風体は、何処にでもいるサラリーマン。
別にうちの店は高級店ではないから
珍しくもない客である。
別にご指名もいないので私が横につくことに。

もう20年近く前の事なので、
一体どんな話をしたのかは覚えていない。
が、何処となく人を小馬鹿にした印象のある人物だった
記憶がある。

アレコレ話しているうちに
「ねぇ、それ。ちょっと見せてよ」
と言い出した。

‟それ”というのは、当時私がしていた
水晶のブレスレットだ。

ダンナからもらったものだが、
8mmサイズの水晶玉が数珠つなぎに並び、
その中央に3cm×2cm程度の水晶プレートがあり
そこに観音さんが彫ってあった。

今はそれほどではないが、
当時は0感の割に人の背負っているモノや
霊的なモノで体調を崩すことが多かったため
御守りとしてダンナがくれたものである。

確か私の返事も聞かずに手をむんずと掴んで
(この辺が失礼すぎる)
矯めつ眇めつした後に

「ねぇ、これ、ちょっとはめさせてよ」

・・・・勿論、内心は
‟何でお前につけさせなあかんねん”
だが、そこは客商売。
幸い、ブレスレット自体は、
今もよくある‟伸びるテグス”で繋いであるものだ。

まぁくれと言われたらお断りだが、
貸すだけならと貸してやる。

案の定、子供並の手首の太さの私に合わせて作った品が
成人男性の手首に合うわけはなく、
ゴムは伸びて水晶の隙間から見えている。

「やっぱりカッコ悪いなぁ」

当たり前だ。

そんなわけで客はすぐにブレスレットを外し、
その後少し飲んで帰る事に。

一応、安くてもラウンジなわけで
お見送りで外に出て
心の中で「もう来なくていいっすよぉぉぉ~」と
毒を吐きながら見送る。

確かこの日はそこそこ暇で
それから程なくして私も上がったのだが、
帰り際、ちょうど店を出てすぐくらいの時

カッツンッッ!!

足元で妙な音がしたので止まって下を向くと
見覚えのあるものが落ちている。

そう、水晶のブレスレットである。

やっぱり、無理に手の大きな人がつけたから
テグスが切れてしまったのだろう。

となれば、早く拾わないと水晶が転がる。
慌ててしゃがみ込み、まず大きな塊を拾ったのだが
思わず「へぇ???」と声が出た。

ブレスレットは、
切れて落ちてはいたのだが
切れたのはゴムじゃなかった。

切れたというより、
割れたのは観音さんのプレート
だった。

真ん中から真っ二つとは言わないが、
足元辺りからバキッと二つ折りに・・・・。

そりゃ水晶だって割れる時には割れるが
また凄いタイミングで割れたもんだ。

 

当時は、まだ今ほどこうゆうものが出回っておらず、
そのブレスレットもそれなりの高級品であった。
そして何よりダンナが御守りとして
持たせてくれたものだったので、
「人からの贈り物、しかも高価なものを壊してしまった!」
という事で凹む、凹む。

(私だって最初からババアだったわけじゃない。
こうゆう可愛らしい時もあったんだ)

仕方がないので、円から直線になったブレスレットを
ポケットに仕舞って帰宅した。

 

後日、くれたダンナにブレスレットを見せて
事情を話して謝った所

「まぁ、こうゆうモノが割れる時は、
大体、何かを引き受けてくれた時だから。
厄払いだと思って気にするな」

といい、それ以上は何も言わず
ブレスレットを回収していった。

 

まぁ今回の話は、たったこれだけの事で
他には何もない。

ただ、この20年の間で、
幾つかパワーストーンブレスレットを所有しているが、
こんな壊れ方をしたのは、たった一度だけ
・・・・なのだ。

ついでに言えば、
“他人にはめさせた”
のもこれ一度きりだ。

ちなみに、この客は私の知る限り
その後店にやってくることはなかった。

これだって、
単純に店が気に入らなかったのかもしれない。

が・・・・
やはり、今も時々
あの客は無事でいるんだろうか?

と思ってしまったりするんだなぁ。

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