女子高の赤い腕

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雨の日は、いつもよりも怪異との遭遇率が高い気がする。

よく「水辺には魂が集う」というが、確かに怪異を見た後、
周りをよく見ると傍に池など水場があったというのは
私の人生において“あるある”だ。

これは、そんな彼岸と此岸が少し近くなる雨の日の話。

お堀の上に浮かぶ学校

もう今から20年以上前、当然の事ながら私はまだ
ピッチピチの女子高生だった。

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

あ、いや、一応女子高生だが既に今の塩っぱい性格は
ほぼ出来上がっていた(;・∀・)

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

あ、すいません。
バイト仲間とお好み焼き屋で宴会してました(;´Д`)

うんまぁ、つまり既に一般的な“花も恥じらう乙女”ではなく、
立派な“女子高生の皮を被ったオヤジ”だった。

強いて何か弁解するなら、ヤンキーではない。
酒飲んでタバコも吸って、確かにヤンキーと喧嘩もしたが、
一応ヤンキーではない。
ただの血の気の多いヲタクだ。

そんな熱燗が大好物で、
花より一升瓶の似合う、
渋いというより妙ちくりんな女子高生だった。

 

が・・・・・もっと妙ちくりんなのは学校だ。

大体何処の学校にも「怪談七不思議」というのがある。

が、密かに↑のような女子高生が通ううちの学校には
何故かそんなものは存在しなかった。
いやひょっとしたらあったのかもしれないが、
少なくとも私は知らない。

何しろ関わる羽目になったから仕方なく関わっているだけで、
元々オカルト自体に興味はなかったからだ。
そして今も昔も噂話に興味がない。

しかし実際の所、そんなものがないのが不思議なほど
・・・・色々といる学校だった。

この原因として考えられるのは、学校の立地条件だろう。

学校は城跡というか、城の敷地内に立っていた

“学校の怪談あるある”のように噂ではなく事実である。
実際その界隈は「〇〇城跡」と呼ばれ、
市民誰もが知っている事だ。

しかもその城の敷地の端っこであるため、
お堀に浮かぶように学校が建っている。

更に加えて言えば、その〇〇城跡っていうのは
だだっ広い公園になっているんだが・・・・

だだっ広くて木が沢山植わっていて人気がないせいか、
デートスポットと同時に
“首〇りスポット”
にもなっていた。

今はどうだか知らんが、当時は年に数人
そこでぶら下がっていたっぽい。
(たまにパトカーやら救急車やらが来ていたので、すぐわかる)

まぁ・・・・そんな学校である。

雨の日の怪

その日は冷たい雨の降る日で、私はまだ一年生。
お堀の見えない一年教室で数学の授業を受けていた。

一年生の教室というのは日当たりが悪く、
窓の外は隣の敷地とを隔てる壁しか見えない。
しかも雨。

ただでさえ暗い教室は更に暗い。
伝統という名の埃にまみれた古い蛍光灯がついていても、
元からの薄暗さと雨による暗さなんぞ拭いきれるわけがない。

私は鬱々とした天気と授業の退屈さも相まって、
あくびを噛み殺しながらボンヤリ授業を聞いていた。

なんとなく手持ち無沙汰で、
まだ長くのばしていた自分の髪を摘まんでは落とすという事を繰り返えす。

私は顔面偏差値はイマイチなんだが、唯一髪だけは美しい。
漆黒ではないが、濃い茶色の髪は丁寧にテンパリングした
チョコのようにいつもツヤツヤと輝いている。

その少しヒンヤリとした髪を耳の後ろ辺りで摘まみ、
キューティクルに従って上から下へなぞり下ろす。
また摘まみ、今度は指先から重力に従うように
サラサラと落とす。

退屈過ぎる数学の授業を聞きながら、指先でそんな遊びをしていた。
そのように何度か耳の後ろの毛を摘まだ時、

“ぐにゃり”

指先に髪ではない感触があたった。

指は耳の後ろ辺りにあるので、
何を摘まんでいるのかは見えない。
でも人差し指と親指の間には明らかに
髪より大分厚みのあるものが挟まっている。

ブヨブヨとしていて弾力がなく、
しっとりと指に吸い付くようだが、温度が分からない。

すぐに何か分からない感触のモノ。

流石にギョッとしたが、この頃には自分の身に起こる
奇妙な出来事に慣れてしまって、ちょっとやそっとでは眉1つ動かなくなっていた。

指先をそのままに、視界に入るようにゆっくりゆっくりと降ろす。

非常にゆっくりと慎重に動かしていたにも関わらず、
指先にあったものは次第にしゅるしゅると小さくなり、
やっと視界に指先が入った時には、もうなくなっていた。

視界に入ったのは、見慣れた自分の黒い絹糸のごとき髪と、
その髪に不釣り合いな短い自分の指先だけである。

・・・・・・今のは何だったんだろう?

確かにこの学校に限らず、何もない所で何かにぶつかったり、
思い切り視えない何かを踏んずけてすっ転ぶのは日常だが、
摘まんだのは初めてだなぁ。

赤い腕

指先に残った髪を落とし、
何気なく教室の隅に設置されたテレビへ視線を向けた時、
異様なモノを見た。

部屋の右角の少し高い位置に設置された昔ながらのブラウン管テレビ。

その上から“腕”が出ている。

焼けただれているのか、
それとも皮を剥がされているのか、
その腕は真っ赤だった。
体液か血液でテラテラと濡れて光るような赤さ。

その上“テレビの上にチョンと乗っている”という
レベルではなかった。

肘から先をテレビの裏側から出し、
あたかも誰かがテレビを抱えるようにしてニョキっと出ていた。

当然の事ながら、テレビの後ろには人が入れるスペースはない。
そもそも、高い位置に固定されているテレビなのだから
どうやっても後ろに人は入れないし、入る隙間などない。

まぁ、絶対に生きている人間では・・・ないよな。

ここまでハッキリくっきりと見えると、
もはや恐怖心よりも好奇心が勝る。

っていうとカッコいいけど、
ぶっちゃけ、暇だっただけだ!(爆)

普段スルーする怪異を観察するのは、
大体暇な時だ。
元々観察するのが好きだから、興味さえ湧けば
観察対象は怪異でも動物でも自分のカサブタでもいいんだよ。

腕は半透明とかそうゆうボンヤリしたものではない。
しっかりとした肉の質感と存在感がある。
そして筋肉らしい筋肉も、ぜい肉らしいぜい肉もない。

骨ばかりでもないが、ほっそりとして頼りなく、
まるで痩せた女か子供の腕のようだ。

そして、その先の力なく下を向いた指先も細い。
細いが骨ばっている様子もない。
適度に肉がついている赤い指。

あ~、なるほど。
さっき摘まんでしまったのは、アレなのか。

先刻のあの手触り。
直接見たわけじゃないが、
あの厚みは思えば人の指くらいの厚みだ。

という事は・・・さっきまでアレが私の頭上にいたのか。

思わず自分の頭の上にソレが乗っている所を想像する。

怖いっつーか、シュール(;・∀・)

その後、特にそれ以上の展開はなく、
腕はスルスルとテレビの裏へと消えてゆき、
その後二度と出てくることはなかった。

よって、この話にはオチはない。
まぁ実際の体験談などはそんなものだ。

 

卒業するまでこの手の類の事はチマチマとあった。
小中高と通してみると、結局この高校が一番人外のものが
闊歩していたような気がする。
やはり立地のせいか?

それとも例え人外であっても
“乳臭いガキ”より“ピチピチ女子高生が好き”
なのかは定かではない。

しかし、それらの人外怪異以上に驚異的だなぁと思ったのは、
同学年に拝み屋の家系の娘が2人もいた事だろう。

更に追い打ちをかけるように、
そろって腐女子とかカオスすぎる。

例えるならば、

BL本とお札が同じカバンに入っているような
死者と生者が同じ校舎で学んでいるような

そんな所が我が母校であり、
懐かしのスクールライフなのだ。

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