柴犬には例え主が死んでも仕えるのを止めないサムライハートがある

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日本の天然記念物と単純に言っても色々ある。

色々いるが、実は誰もが週に数回は何気なく天然記念物を見ている。
ついでに言えば、私は天然記念物と暮らしている。

とっても身近で、愛らしく、
忠実で勇ましい。
そんな天然記念物。

その名を「柴犬」という。

猫の下僕という仕事につく犬

前回、我が家で特別な仕事をする猫の話をしたが、
基本、猫は働かない。
アイツらは神から労働を免除された生物である。

しかし、犬はそもそも「働く」のが前提な部分があり、
それを表すように「グループ分け」という概念がある。

犬のグループ分けとは、
生存する目的、形態や用途によって犬を分類する事だ

ジャパンケンネルクラブの分類でいくと、
デカイ耳とケツが可愛いウェルシュ・コーギーは牧羊グループ。
意外と性格は穏やかなドーベルマンは使役グループ。
オシャレマダムが抱えているチワワは愛玩グループ。

そう、犬は働かなければならないのだ!(爆)
チワワが腹を出して寝ていても、それは愛玩犬として働いているのだよ。
ふふふふ・・・・

 

そんな訳で、我が家の犬・柴子(黒柴メス13歳)には、
命じられなくても我が家に来た時から仕事がある。

「猫守」だ。

猫の子守といっても、実際には猫の機嫌を損ねないように、
猫の僕となるのが我が家に来た時から彼女の仕事である。

猫の嫌がる事(吠える・唸る・噛みつく)はせず、
例え猫に理由なき暴力を振るわれてもジッと耐え、
猫に飯を取られても猫の気のすむまで後ろで待つ。

会社に隷属する人を‟社畜”と呼ぶが、
これでは‟猫畜”である。
でもこれは致し方ない。

猫は生きているだけで偉いのだから。

暴君エリンギとヘタレ柴

そんな日々彼女が仕える猫達の中で、
もっとも柴子が敬意と畏怖を持って仕えていたのは、
‟エリンギ王子”
という白地に茶虎ポイントのある雄猫だ。

このエリンギ王子というのが、
‟家庭内テロ猫”の異名を持つ暴君で、
・・・私に噛みついて手に穴を開けた事もある凶悪犯だ(;・∀・)

初見で柴子に猫パンチを浴びせてから、
ずっと柴子のボスとして君臨し続けている。

正直、私は今も柴子の中のヒエラルキーの頂点は
エリンギだったのではないかと信じている。

何しろ、私が呼んでも私の前にエリンギがいて、
奴が一睨みすると、それ以上近寄らなかったからな。
そして・・・尻尾が萎れる(笑)

柴子にとっては、私のコマンド(指令)より、
エリンギの一睨みのほうが重かったのだ。

他の猫達は割と柴子に寛容だったが、エリンギだけは厳しかった。

柴子が調子に乗ってベッドへ上がると、
何処からかすっ飛んできて猫パンチ

‟散歩後ハイ”が収まらず騒いでいると、
無言で近づいてきて猫パンチ。

私に怒られて機嫌が悪いと、
スッと柴子に近寄り猫パンチ。

そんな猫ではあるが、9歳の頃急死してしまった。
一応、死因は肺水腫であったが、全くその兆候らしいものがなく、
今でも私の中で何となくシコリとして残る別れである。

中身だけでも十分怖い

実家にいた頃から数えると、別にエリンギは初めて迎えたペットの死ではない。
が、実家を出てからは初めてである。

まさか・・・あんなことになるなんて(;・∀・)

エリンギを病院から連れ帰り、最後に一緒に寝ようとベッドへ寝かせ、
私はパソコンに向かっていた。
何かしていたほうが気がまぎれるからな。

な・ん・だ・が・・・・

足にず~っとフワフワの何かが当たっている。
??ほかの猫か?

下を見る・・・何もいない。
残りの猫は皆少し離れた所にいる。

PCに向かう→足にフワフワ→見るが何もない

このフワフワの当たり具合、メッチャ猫の尻尾なんだけど。

PCに向かう→足にフワフワ→見る→PCに向かう→足に・・・

これを数回繰り返し、パッと見た時・・・足元にエリンギがいた(;・∀・)
エリンギの長~い尻尾が私の足にトフトフと当たっていたのだ。

慌ててベッド見に行く→間違いなく死んでる事を確認。

が、後ろでトトトト・・・と歩く気配がする。
・・・・振り返ると数秒生前と同じ調子で歩くエリンギが見えて、ふっと消える。

・・・・‟中身だけ”歩き回ってやがる!!

この時は、怪異が見えてるとかそうじゃなく、
唐突なエリンギの死で自分の精神状態がおかしくなったんじゃないかと思った。

が、残念な事にそこまで私の心は繊細じゃなかった。

私は基本霊が見えない。
だが、生前からよく知っているモノだけは、
ちょっと特殊なやり方でチャンネルを強制的に合わせて見る事が出来る。
とはいえ、流石にこの時は見えてもあまりアテにしなかったけどな。

フワフワ飛ぶでもなく、
壁をすり抜けるわけでもなく、
生前と変わらずトトトト・・・と歩くエリンギ。

そのエリンギが柴子の横を通る時、柴子の様子を見て「あれ?」と思った。
・・・柴子が明らかに緊張している。

柴子はエリンギを嫌っているわけではなかったと思う。
が、アレの機嫌が悪いとすれ違い様に殴られたりするので、
近寄ると少し緊張した顔をしていた。

私の‟へっぽこ霊視”で見ているエリンギに柴子が反応しているのである。

・・・・柴子が反応しているって事は、気のせいでも幻覚でもない。
あれは間違いなく、エリンギの霊だ(爆)

 

そして、別に猫も49日というわけではないが、
まぁそれより少し長いくらいの日数をかけ、
エリンギは本当に旅立って行った。

亡くなったのは土砂降りの薄暗い日だったが、
旅立ったのは梅雨の晴れ間の夏を思わせる美しい青空の日であった。

何年経ってもボスはボス

エリンギは本当に旅立った。
が、またすぐに戻ってきた(爆)

猫も盆を気にするのか、
それともそもそも本当に地獄の釜の蓋が開くからかは知らんが、
盆が近づく頃、柴子と散歩をしている時に雨に降られて虹が出た。

それを見た時何故か「あ!」って思った。
それと共に滅多に吠えない柴子が上ずった声で「ヒョン!」と吠えた。

慌てて家に戻ると・・・
ベッドの上にはエリンギ(の霊)が鎮座ましましていた。

そう、あの虹を見た時に感じたものはエリンギの
「今から帰るぞ」
というサインだったのだ。

エリンギの死後、柴子がベッドに乗っても誰も怒らないので、
すっかりベッドで寝るのがお気に入りになった柴子だが、
このエリンギ滞在中には絶対にベッドに乗らなかった。

私も意地が悪いと思うが、諦め悪くベッドの下で寝ている柴子に
「ベッドの上で寝てもいいんだよ」
と言って、布団を手でポムポムすると、
チラっとエリンギのほうを見て
「ボスがいるので遠慮します」
とでも言いたげに首を竦めて更にベッド下へと潜っていった。

そして、その上のエアーエリンギ(あまりにも堂々とし過ぎていて幽霊と呼べない)は、
「当然だ」
とでも言うかのように・・・どや顔で寝始めるのである。

 

これはどれだけ年数が経っても変わらないようで、
エリンギが長老の死後、久々に表れた時もそうだった。

エリンギが亡くなり3年以上。
姿を見せなくなって2年ほどは経っていて、
前以上にすっかり‟On the bed”が定着していたのにも関わらず、
エリンギが滞在していた間、柴子は一度たりともベッドへ乗る事がなかった。

更に生前と同じく、私が呼んでもその間にエアーエリンギが立ちはだかると、
やっぱりそれ以上歩みを進める事はなく、オマケに睨まれると尻尾が下がる(笑)

 

先に述べたように、野生の欠片もないような犬である。
猫に仕え、犬である事を隠すように吠えず、
猫を真似して小さな箱に入るような犬である。

パッと見、誉れ高き柴犬のシの字もないような犬である。

が、柴犬最大の美徳と呼ぶべき‟忠誠心”だけは持ち合わせているのだ。

現在、柴犬は海外で爆発的な人気らしい。

なんでもその自立性や主人以外には距離を置く姿が
「Oh!!サムライ!サムライド~ッグ!!」
という具合に海外の方々のハートを鷲掴みにしているらしい。
(何だかんだ言っても、欧米人はサムライ、ニンジャ、ゲイシャ、フジヤマが好き)

確かに、エリンギが亡くなって数年経ってもこれだから、
もうこれは武士の心得にある

‟武士とは精神の深部まで主人に使えることができるもの。
それは主人が亡くなっても続くものである”

っていう一文に当たるだろう。

ただな・・・・

本来の主人は私・・・なのだが・・・・

恐らく柴子の中で私はエリンギの子分で、自分はその子分の子分
更にダンナは自分の子分なのだ。

あぁ、三つ子の魂百まで。
柴子のモッサリしたサムライハートは多分一生続くのだ。

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