保護猫・パグー物語 ~またもやNNNに目をつけられたらしい~

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この世には

‟NNN”

というものが存在するらしい。

このNNNとは“ねこねこネットワーク”
あるいは、
‟ぬこぬこネットワーク”といい、
なんでも猫を世間に広めようと日々暗躍している
恐ろしい地下組織なんだそうだ。

どうやら猫神直属の組織らしい
この秘密結社。

そんなNNNに目をつけられた
ある絵描きの話。

野良猫がメンチを切ってきた!あなたならどうする?

あれは確か8月の終わり近くだったと思う。

犬の散歩に出ようと、2階のエレベーターホールへ向かうと
そこには見かけたことがない猫が座り込んでいた。

別に猫がそこにいるのは珍しい事ではない。
むしろ我がアパートでは通常運行。

何しろ、そのエレベーター横の住人(202号BBA)が
自分の部屋の前で猫を餌付けしているのだから。

だが、日頃この餌場を牛耳っているのは、
ドン・パンダーニの率いる
三毛猫ファミリー。

たまに、よそ者が餌の匂いを嗅ぎつけてきても
パンダーニたちによって駆逐されて
しまうのが常。

にしても・・・この猫、
メンチの切り方がスゲェ。

鬼瓦みたいな顔で、通りがかっただけの私と柴子に
刺すような視線を向けてくる。

見ず知らずの野良猫が、突然「The・任侠」な渋い顔で
メンチを切ってきたら・・・・
あなたならどうする??

ちなみに私は
「元気いいなぁ、お~やれやれ、もっとやれ」
柴子は
「へっへっへっへっへっ!」

・・・・そう、この二人には、どんだけメンチ切っても
まぁ~ったく無意味なのだ。

いや、だってさぁ、
故・巨猫の鬼神さながらの威嚇
見慣れてしまったら
もうそれ以外の猫の威嚇なんざ
赤ん坊の笑い声も同然よヾノ・∀・`)

そして、その猫の横を通過しようとしたら、
素早く立ち上がり逃げていった。

 

それからもこの猫は、度々というか
朝晩の散歩でホールの前を通りがかる度にいた。

更には、我が家の前の螺旋階段にも姿を現すようになった。
よそ者がここまで滞在するのは珍しい。

あぁ、そういえば、
最近、三毛猫ファミリーの姿を見ない。

ついでに言えば、
彼女らを半野良で飼っている
202号BBAの姿も見ない。

しかし、部屋の前には相変わらず
カリカリが供えられている。

どうなっているんだ?

 

とりあえず、しょっちゅう見かけるこの猫を
私は‟パグー”と呼ぶことにした。

勿論、あのチンクシャ顔が可愛い
パグから取った名前だ。

犬のパグの語源は、どうやらラテン語の‟パグナス(拳)”
という事らしく、
厳めしくもまん丸い顔のコイツには
ピッタリだと思ったのだ。

 

そうして過ごしていたら、ある晩
201号BBAが猫おやつを手にして
パグーに近寄ろうとしていた。

そこで声を掛けて話を聞くと、
202号BBAは、怪我をして入院してしまい、
代打で隣人の201号BBAが
朝晩餌を盛っているそうな。

201「この子最近来るようになったんだけど、
ちっとも食べないのよね」

確かに、201号さんは手にチュールを持っているが
どうやっても寄ってこない。

・・・・・まぁ大分顔が険しいから、
相当警戒しているのだろう。

 

それからも、パグーはずっとそこにいた。

真昼は何処に行っているか知らないが、
朝晩は必ず同じところに座ってじっとしている。

それを見かける度に
「おはよう」「こんばんは」
と声を掛ける。

それを繰り返すうちに
横を通り抜けるくらいでは逃げなくなった。

 

野良である事がしんどそうな野良猫

季節は秋に向かっていたとはいえ、
8月の終わりも9月の始めもまだ十分に暑い。

そんな中、パグーは相変わらず居続けたのだが、
慣れてくると最初の頃のような
厳めしい顔をしている事が少なくなった。

毎日そうして見ていると、
なんだかその姿に哀愁というか
妙な‟しんどさ”を感じた。

・・・・あれ?コイツ生粋の野良じゃないのかな?

長い事、野良猫とも付き合っているが、
野良として生まれ野良として生きている奴は、
飼猫のように綺麗で
丸々と太っているわけでなくとも
“しんどさ”のようなものがない。

人を適度に警戒し、適度に利用し、
一言で言えば「これはこれ」という感じで
野良ライフをそれなりに謳歌している所がある。

だが、パグーにはそうゆうものが見えない。
本当にしんどそうに見える。

野良暮らしがしんどい野良猫って・・・・

そう思ってから、
どうにもこの猫が気になる。

そりゃ、うちで拾ったらいいだろうって話だが、
我が家には二代目もいるわけで
おいそれと拾う事は出来ないのだ。

さて、どうしたものか?

 

巨猫来る

どうしようと考えを巡らせながら時間だけが過ぎる。

とりあえず、盛られた飯に口はつけているようだが
全くもって太る様子がない。
むしろ、どんどん毛艶が悪くなる。

そして最初は朝晩いたのが、
やがて朝だけいなかったり、
逆に夜だけいなかったりするようになった。

そんなある晩。

 

自室で一人眠ろうとして横になった。

そうしていると、
また瞼を閉じているのに
スッと目の前の風景が開けた。

そこには巨猫がいた。

 

巨猫は乗った事がないハンモックに
さも当然と言った風に乗り
その巨体を半分私の上、
半分ハンモックの隙間という具合に
器用に収めて横たわっている。

あぁ、お社から遊びに来たのか。
自由だなぁ・・・猫だしなぁ。

・・・ってか、よくその巨体を
隙間に収めたなぁ!!(爆)

※元・飼猫にも通常運行のツッコミスキル

なんて事を思いながら見ていると
生前と同じようにグルグルと喉を鳴らし、
何かを探すように虚空に首を巡らしていた。

この日は、これ以上の事は特になかった。
いや、あったのかもしれないが、
私には分からない。

なにしろ、コイツのグルグルという喉の音に惑わされ
私は、そのまま寝入ってしまったからだ。

 

野良猫・パグー、懐く

翌日。
その日は一日パグーを見なかった。

どうしているかと思いながら一日過ごしたが、
更に翌日になるといつもの位置に座っていた。

その姿を見て、ふと‟触ってみよう”と思った。

今までも何度かトライしたのだが、
その度に逃げられてしばらくやっていなかったのだ。

それでも再トライと思ったのは、
やはり巨猫の事があったからだ。

巨猫は野良から生まれた生粋の野良猫だった。
にも関わらず、
その臆病過ぎる性格のせいで
野良暮らしがしんどかったヤツだ

まさか、あの日現れたのは、
自分と同じく野良暮らしがしんどそうなパグーを
「拾え」
と言いたかったのだろうか?

「まさか!」とは思いつつ、同時に
今日は逃げられないという変な確信があった。

声を掛けながら屈んで近づく。

逃げない。

更に手をそっと出す。

まだ逃げない。

指先が少し鼻に触れる。

・・・・逃げない!触れてるよ!!

 

この時は嬉しさで動揺したせいか
5秒くらいで逃げられたのだが、
ここから先は早かった。

朝は鼻先チョンだったのが、
夜には5秒に伸びた。

更にその3日後にはこんな事になっていた。


更に更に、
この翌日思い切って抱き上げてみたが
普通に抱かれている。

・・・なんだ、この豹変ぶりは?
え?最初のあのメンチ切りなんだったの?

パグー捕獲小作戦

そこから、スケジュール調節も含めて準備開始。

伝染性の病気の有無が確認できるまで
パグーを隔離しなけりゃならないが、
それがなくても絶対にノミダニはいる。

それと、駆除が終わった後の落ち着き場所(猫ケージ)も
掃除をしておかねばならん。

長らく巨猫の隔離病棟として使われていた2段式の猫ケージだが、
それを隅々まで掃除してパグー用にした。

病院へ行くまでの一時隔離は、
とりあえず犬用キャリーが大きいのでそこでする。

しかし、大きさから考えて、
ストレス少な目で入れておけるのは精々1日だ。

そこで、翌日朝一に病院にいける日の前日に
捕獲日を設定。

 

諸々の準備後、予定日の2日ほど前から
リーサルウェポン「チュール」を目標に投下する。

以前、201号BBAが手に持っていた時は、
見事にスルーされたチュールだが、
今回は有効だった。

私がチュールを持って立った瞬間から
目標の視線は私の手元に集中。

点火(開封)した途端に
目標自らが突撃してきた。
そして、かぶりつきで、着弾!!

目標が自ら当たりにくるなんて、
さすが“猫の麻薬”チュール。
恐るべき威力だ。

そして、どれほど効いているか?を
確認するために抱き上げるが、
暴れも逃げもしない。

完璧だ、完璧にチュールが効いている!!

 

捕獲当日。
少し離れた場所に隠すように犬キャリーを置き、
チュール2本構えで挑む。

まずは1本目。
何もせず普通に食べさせる。
食べさせつつ、
ちょっとずつキャリー方向に誘導する。

そして2本目。
夢中になって食べるパグー。
その隙を突き、一気に抱え込み
キャリーケースの中に放り込む。

一瞬パニックになりそうに見えたが、
閉めた扉の隙間から差し入れられたチュールを
食べ続けるパグー

その間に扉を完全封鎖。

完膚なきまでに捕獲成功だ!!

 

素性不明の行儀のいい猫

さて、今まで何度となく野良猫を保護したが、
・・・・ここまで大人しい猫は見た事がない

捕獲の際もそうだが、
捕獲後もまたそうだ。

何しろ捕獲されたパグー。
多少鳴きはしたものの、暴れるわけでもない。

むしろ、玄関先に置かれたケージに向かって
威嚇する二代目の方がうるさい!!

 

翌日病院に連れて行った際も
ほぼ無抵抗でキャリーから引き出され、
大人しく触診されていた。

ここでやっと判明したのだが、
こいつは、歯が数えるほどしかない。

そりゃ、あの山盛りのドライフードを
勢い良く食べられないわけだ。

この日は、未予約だったため
一旦預けて空き時間に検査などをしてもらい
夕方引き取りに行った。

だが、私がいない間も
大人しく何でもさせてくれたそうだ。

先「いや、本当大人しい子ですね」

歴代の猫の中、
もっとも大人しく診察を受けていたのは
巨猫なのだが、
パグーはその上を行くらしい。

そして検査の結果だが、
猫エイズ等の感染性のものについては陰性。

ノミは・・・朝の触診の時点で
毛をワサっと開けた瞬間に「コンニチハ」したため
駆虫。
同じく腹の虫も駆虫。

全体的に気になるのは、やや脱水気味だったのと
腎臓の数値が悪い所くらいだ。

脱水もそうだが、歯と腎臓のへたり具合から行くと
まぁそこそこの年(10歳以上)かとは思う。

・・・・・これはまた、
えらいもんを拾ってもうた。

 

その後のパグー

この後、しばらく近所に聞き込みをして
パグーの事を聞いてみたものの
彼女の事を知る人は誰一人としていなかった。

・・・・というわけで、
必然的に我が家の飼猫となったわけだ。

しかし、飼えば飼うほど
やはり生粋の野良とは言い難い猫である。

最初は先住猫の2代目とのトラブルを避けるために
ケージに入れていたのだが、
別にそこを嫌がるでもなく
入口が開いていても
日がな一日、中に設置したベッド(巣)で
まったりとしている。

冬の間は、二代目が怖かったようで
ほぼケージで過ごしていた。

やがて、春が間近になる頃には、
たまに二代目に威嚇&猫パンを食らっても
気にしないで家中を闊歩するようになった。

ついでに言えば、犬も気にしない。

・・・気になるのはたまに自分の飯を横取りする時らしく
たまに猫パンチを加えているが
へなちょこすぎて犬には全く効果がない(笑)

 

そして、驚きなのが
シャンプー・掃除機への耐性だ。

駆虫終了後に流血覚悟で
“丸洗い”を決行したのだが・・・・

いや、殆ど嫌がらないんだけど。
そりゃ喜びはしないが、
鳴いて暴れるとか一切しない。

そして生後2~3週間から我が家にいる二代目ですら
恐れおののく掃除機の轟音にも
全くもって怯える様子も
驚く気配もない。

 

たまにダンナの部屋に連れていけば
勝手に布団のセンターに座るし、
私が横になれば、さっとやってきて
くっ付いて眠る。

更に気が向けば、人の腹を肉布団にしてくつろぐ。

・・・・・・
間違いない、コイツ絶対に
元・飼猫だ。

 

いつまで一緒にいれるか分からないけれど

出自、年齢、様々な事が不明すぎるパグーだが、
ただ一つ確実に言える事がある。

はっきりとは分からないものの
彼女は結構な高齢で、
すでに高齢の猫にありがちな
腎機能低下を起こしている。

だから、この先長く一緒にいるのは難しいかもしれない。

実はご近所さんにそんな話をしたら
「死にかけじゃない!」
と言われてしまったのだが・・・・

でも、生き物なんて皆かならず死ぬんだ。
皆、生まれた時から死に向かって歩いているんだ。

この世の生きとし生けるものは
皆が皆“死にかけ”なんだよ。

ただ、その死にかけの時間をどう過ごすか?
たったそれだけの事じゃないか。

 

巨猫の時もそうだったが、
野良だった猫を拾って飼う事が
正しい事なのかどうか
今でも分からない。

二代目のように子猫だったら正しい事なのか?
巨猫のように外の自由と残酷さを知った大人の猫では
間違った事なのか?

これは答えなんてない問答で、
問答は猫と暮らす限り続く。

何年経っても何匹と暮らしても
何匹見送っても続くのだ。

答えは、この世に溢れる人と猫の数ほどある。

 

でもひとまずは、コイツが気持ちよく暮らせるよう
出来る事をしようじゃないか。

そんな覚悟、最初にコイツを抱いた時から、
とっくに出来ているぜ。

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